アキュレイト・アジア(タイランド)マネージングディレクター佐藤賢一さん(45)アキュレイト・アジア(タイランド)マネージングディレクター佐藤賢一さん 「ばね1つ、開発の一助に」海外初拠点立ち上げ、計画し実現2008/5/21
少量生産のばねや関連製品を製造販売するアキュレイト。初めて設けた海外拠点のアキュレイト・アジア(タイランド)が、バンコク都内で先月1日に営業を開始した。量産品ではなく、少量多品種を扱うのが他社との違い。1,600種類の在庫をそろえ、試作品製作での使用など開発者の注文に、特注品であれば1個からでも応じる。 マネージングディレクターの佐藤さんは、半年前から月の半分ずつをバンコクと日本で過ごす生活を続けている。 ■コンサルから転身 自分でテーマを決めて調べるのが好きという学者肌。「研究のようなことができそう」と考え、大学卒業後は銀行系のコンサルタント会社に就職し、バブルの初期から崩壊後の処理まで15年近く、徹夜が当たり前の激務の日々を過ごした。 しかし、次第に欲求不満が高まる。事業計画を立てても、それを実行するかどうかを決めるのは顧客であり、自分では何もできない。 「自分も直接経営に携わりたい」。その思いから、計画実行までの権限を与えられる会社を探し、2002年のアキュレイト入社を決めた。経営企画担当の取締役として、まず社名やロゴの変更、人事制度の整備など組織固めに着手。一段落ついた後は拡大戦略に転じ、海外進出計画を推進して、タイ子会社の設立に結びつけた。 ■米国でアジア意識 アジアは何度も旅行で訪れたお気に入りの地。学生のころは興味なかったが、社会人5年目に会社の留学制度を利用して米ニューヨーク州に滞在した際、自分が「日本人というより、むしろアジア人」であることを強く意識させられた。その経験から「もっとよく知りたい」という思いが強まり、2年後に日本に帰ってからは毎年1回、上司とけんかしてでも休みを取り、バックパックを背負って、東南アジアや南アジアを歩き回った。 特にタイは初めて来た時から「空気が合う」と感じていた。空港に降りたときの蒸し暑さ、高層ビルと線路沿いに並ぶスラムの格差、屋台のうまい飯。「もっとも東南アジアらしさを感じさせる街」として好きになり、何度か訪れては表通りも路地裏も歩いて、発展の様子に目を凝らしてきた。 ■産業高度化後押し 「タイの産業が今後も成長するには、研究開発(R&D)を強化し、付加価値の高い製品の製造拠点となる必要がある」と佐藤さん。R&D機能を持つ製造業者は実際に増えており、「今は次のステージへの移行期。開発向けばねの需要は高まっている」と判断。タイ法人の設立に迷いはなかった。特注品のばねでも14日以内に顧客に届けられる体制を整え、製造業の開発の現地化、スピード化に対応する。 ショールームと倉庫を併設するオフィスはまだ家具もそろわず、タイ人スタッフもこれから雇うところ。日本人のエンジニアと合わせて4人の少数精鋭で、「小さいながらも、企業の製品開発に、そしてこの国の成長に貢献できれば」と願う。 (タイ編集部・工藤定朗) >>この目次トップへ[P R] [P R] [P R] |