ミツイ・ケミカル・アジアパシフィック社長、那和保志さん

東京都保谷市(現西東京市)出身。東京大学法学部卒業後に三井石油化学工業に入社。シンガポール赴任1年半だが、単身赴任の身で、家事や買い物を1人でこなす日々に苦戦している。休日は主に、インターネットを通じて将棋に興じる。

統括14社の専門ウェブも「電子情報材料の売上高を2倍に拡大」

2008/10/9

ミツイ・ケミカル・アジアパシフィック社長、那和保志さん

「直近の課題は2つ。事業会社としての業績拡大と地域統括会社としての機能強化です」

6月25日付でミツイ・ケミカル・アジアパシフィック(MCAP)の社長に那和保志さんが就任した。親会社は三井化学。シンガポールで積極拡大策を講じる少数派の日系企業として注目を集める。自動車部材などに使われる熱可塑性エラストマーの第2期計画に着手。アジアトップシェアのフェノールも増設を検討中だ。

MCAPは、統括会社として両増設計画に絡むほか、グループ初の海外研究拠点整備に力を入れる。三井化学の命運を握るMCAPの舵取り役は重責だが、那和さんは淡々とした口調を崩さない。

化学業界に足を踏み入れたきっかけは偶然。出版業界への就職を希望したが、旧三井石油化学工業に在籍していた先輩から「出版は受からんだろう。席を空けて待ってるよ」と一言。複数の出版社を受けるも失敗。「化学は苦手だった」が、行き先は三井石化しかなかった。

入社から30年が経過したが、配属先はめまぐるしく変化した。工場の人事課からスタート。その後は組合、特殊化学品企画部、法務部、総務課、人事部、経営企画部、合併準備室、再び経営企画室、秘書室、統合推進室、機能化学品企画部、機能加工品事業部長と駆け足だった。

■3つの軸を重視

シンガポール転勤は昨年4月。MCAP副社長として赴任した。海外駐在は初経験だが、時同じくしてMCAPが地域統括会社に。東南アジアからインドやパキスタン、中東、オセアニアまでを管轄することになった。

「経済、労働安全やコンプライアンス(法令順守)などの社会、地球温暖化対策などの環境という3つの軸を重視しています」

体制づくりから始めた。法務部と安全環境部を発足。域内のグループ企業が一堂に会する会議も開催、事業部という縦割りに加え、横の連携を強化する機能を付与した。

現地人従業員の定着率が低いことが共通の悩みと分かると、新たに設置した分科会を通じ解決策を模索。第1弾として、MCAPの人事担当ゼネラル・マネジャー(GM)を日本人から現地人女性に。グループ会社にも波及させていく計画だ。

また、地域ごとの統括機能を外部に示すため、MCAPが統括する14社の専門ウェブサイトを、早ければ来年1月にも開設する。各社の業績などを紹介、グループ内での位置づけを明確化する。

■自社の業績拡大も

事業会社としての機能強化も不可欠。電子情報材料を販売するが、商品群を充実させ販売を加速する。半導体用保護テープの戦列を増やすほか、太陽電池パネル用封止材もタイなどで拡販する。

「MCAPの電子情報材料の売上高は年間約15億円ですが、2011年には2倍にしたいと考えています」

研究開発も重要な命題。06年に技術センターを開設し、科学技術研究庁(ASTAR)と触媒の共同研究を開始したが、来年には体制を大幅に拡大する。日本と連携し、成果の早期創出に注力する。

格闘は始まったばかりだが、いずれの課題も解決は容易でない。アジアでの三井化学グループの将来は那和さんの双肩にかかっている。(シンガポール編集部・藤野英憲)

>>この目次トップへ

[P  R]

[P  R]

[P  R]

Yahoo!ブックマークに登録Yahoo!ブックマークに登録