ハーモニーライフ・インターナショナル社長、大賀昌さん

1956年生まれ。宮崎市出身。夫人は福岡市でバレエ教室を営み、娘3人も日本暮らし。タイでの単身赴任は14年となった。休日にスポーツクラブや公園に行き、ジョギング、水泳、バドミントンを楽しむのが趣味。健康的な日々を過ごし、「サラリーマン時代の痛風がすっかり治った」と笑顔をみせる。

「自然のペースに合わせ、ゆっくりと」脱サラ、高原農場へ

2008/12/18

ハーモニーライフ・インターナショナル社長、大賀昌さん

東北部ナコンラチャシマ県の高原で、野菜や果物、ハーブの無農薬・有機栽培や、植物性洗剤、シャンプーの製造などを手掛ける。駐在員だった9年前に脱サラし、農場を設けた。カオヤイ山脈の伏流水の確保に始まり、試行錯誤を重ね、今では野菜だけでも60種類を栽培する。国内外から訪れる見学者は1,000人を超えた。

経営的には苦しく、「あきらめようと思ったときもある」。それを救ったのが、独自開発した緑色の「モロヘイヤ麺」。百貨店や飲食店に売り込み、栄養価が高い緑黄色野菜モロヘイヤを紹介するタイ語の書籍も出版した。タイスキ・チェーン最大手MKレストランがメニューに採用し、これを機に大ヒット。今では毎月20万玉を生産し、日本、香港にも輸出する。

経営は2〜3年前から黒字となり、今年5月にはバンコクに自社ビルの本社をオープンした。約50人の従業員のうち、日本人はたった1人。農場と本社を行き来しながら、「自然と人間の調和が大切。無農薬・有機栽培と、健康になれる食べ物を広めたい」と情熱を燃やす。

■駐在員、43歳で決心

静岡市にある東海大海洋学部の学生時代、魚を自然に増やすため、浮き漁礁の研究に明け暮れた。自然や生物、環境に興味があり、「水に貢献できる仕事をしたい」と考える一方、「海外で働きたい」と思った。卒業後は2年間、オーストラリアの総合病院で働き、老人介護などを経験した。帰国後、福岡市の医療用具製造販売の日本健康増進研究会(現NIKKEN)に入社した。

東京や九州、台湾で働いた後、1994年にタイ法人の社長として赴任。5年後に 43歳となり、「環境に貢献したい。今やらないと間に合わない」と脱サラを決意した。栽培に適した土地が安く、ヤシもあるタイは絶好の場所。「タイ人はおおらかで人間性が合う」とほれ込み、会社を設立、カオヤイの農地を購入した。

■宮崎の海、原点に

来年は欧米、中東など海外の見本市に初めて出展し、国内では新製品の酵素飲料「オーガニック・エンザイム」を正式発売する。バンコク都内に直販店も計画し、「将来は農家と一緒に開発した商品を売る店にしたい」。新事業に取り組む一方、無農薬・有機栽培の普及に向けた努力も続く。国内から、日本、インドにも指導の場を広げてきた。

環境や水にこだわる、その原点は、生まれ育った宮崎にある。小学生のとき、遊び慣れた浜辺が遊泳禁止になった。美しかった海が、家庭排水や農薬で汚染されたと知った。農薬が混ざった水に、魚が浮かぶショッキングな光景が、今でも脳裏から離れないという。

農薬を使わず、水を汚さない栽培には、虫害で収穫を失うリスクもあり、普及が進まないのが現状だ。まだ、買い取り契約を結べるレベルの農家はない。それでも、「自然のサイクルのペースに合わせて、大きく、ゆっくりやっていく」。日焼けした大柄な体に、熱い信念がみなぎる。

(タイ編集部・井口達朗)

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