早稲田大学系属早稲田渋谷シンガポール校・教頭補佐・入試広報部長・倉橋友住さん

[第329回]1958年生まれ。東京都葛飾区出身。早稲田大学卒業。81年に渋谷教育学園で教職に就く。結婚して半年後にシンガポールに赴任。13歳になる息子はシンガポールで生まれた。大の熱帯魚好きで自宅ではアロワナなどを飼っている。「シンガポールの観賞魚店事情には詳しいですよ」

「空飛ぶ先生」アジアを駆ける「そこに子供がいる限りどこへでも行きます」

2009/10/8

早稲田大学系属早稲田渋谷シンガポール校・教頭補佐・入試広報部長・倉橋友住さん[

学校についての説明は、教員がやらないと意味がないんです――。入試広報部長として学校説明会のため海外を飛び回る倉橋友住さんは、教諭でありながら、海外営業マン的な顔を持つ「空飛ぶ先生」だ。

早稲田大学系属の早稲田渋谷シンガポール校は、日本以外のアジア太平洋地域で唯一、日本の文部科学省が認定した高校。1学年は約90人で、生徒の大半は海外在留邦人の子弟だ。寮を完備しているためアジアを中心に海外各地から生徒が集まってくる。倉橋さんは「こういう学校の選択肢があることを知ってもらいたい」と、東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ中国や韓国、オーストラリア、中東など日本人学校がある場所ならどこへでも飛んで行く。

■1年で28校

学生の時から教職に就きたかったが、同時に営業マンもいいなと考えていた。最終的には教師の道を選び、大卒後は東京の渋谷教育学園に勤務。12年間の在籍中、社会科などの教員勤務の傍ら学校説明会などを行う入試担当も務めた。1991年に創設された早稲田渋谷シンガポール校の前身、渋谷教育学園・渋谷幕張シンガポール校がはじめて3学年すべてそろった93年に、自ら希望してシンガポールに赴任。その当時から現在まで、社会科の先生と入試担当という2足わらじをはき続けている。学校説明会では各地の中学教員の回転が早かったり、中学1〜2年生にも説明したりすることから、1年を通して頻繁に海外の日本人校を回る。この1年では世界28校で延べ36回の説明会を行った。

説明会では、寮があるため親が帰国したり他地域に異動しても安心して学校に預けられる点や、生徒の習熟度に合わせきめ細かい指導を行っていること、英語教育に力を入れている点などをアピールしている。「意外にも、シンガポールが大変治安が良く生徒が1人でバスや電車で通学できることを知らない保護者も多いんです」。治安が良く交通インフラが整備されているため、海外校では珍しくスクールバスがない。生徒が自由に通学できるため、日本と同様夕方までクラブ活動が行えるのも魅力だ。また日本の早稲田系属校と違い、早大進学希望者ばかりが集まってくるわけではない。卒業後は大半が日本の大学に進学するが、昨年は約10人が国公立大に進学。私立でも早大のほか関東や関西の別の有名私立大を選ぶ生徒も少なくない。「特に関西出身者は地元に帰りたがる人が多いんです」。

■素直で一生懸命

説明会を通じで感じるのは、「海外の日本人生徒は日本にいる生徒と比べ明るくて素直」なこと。「全力で何かに取り組むことを恥ずかしいと思わず一生懸命。海外では家族単位で行動することが多く、日本以上に家庭の絆が強いことが関係しているかもしれません」。

今後の課題は「日本人学校だけでなく国際校から進学を希望する人にどうアピールするか」。イランやスリランカなど今後「開拓」したい国もあり、訪問校は増える一方だ。最近子供たちに接する時間が少なくなっているのが悩みの種だが、そこに子供がいる限り飛び回る続ける先生の姿は生徒たちの目にもまぶしく写っていることだろう。(シンガポール編集部・清水美雪)

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