辰星ベトナム・エンジニアリング社長・伊藤竜志さん

[第339回]1979年生まれ。島根県松江市出身。名古屋工業大学卒。剣道では全国国立工業大学剣道大会などで優勝。2007年に結婚し、奥さんと半年になる男の子の3人家族。趣味は読書。最近ゴルフを始め、ベトナムで初ラウンドを経験した。

越発の安全なプラントを「外に目を向け飛び込んでいく」

2009/12/17

辰星ベトナム・エンジニアリング社長・伊藤竜志さん[

尊敬する人物は坂本龍馬。剣道歴26年で、これまで数々の大会で優勝するほどの腕前。行動指針は、「外に目を向け飛び込んでいく」──。

剣豪龍馬と重なる部分が多い。配管設計を主としたプラントエンジニアリングを手がける辰星技研のベトナム法人代表だ。入社5年目の若干29歳がベトナムで21人のエンジニアを率い活躍している。

ベトナム出向が決まったのは、入社して半年の2005年10月。当時、地場企業にプラント設計をアウトソーシングしていたが、現地での長期的な人材育成を掲げた本社の方針で、ベトナム法人設立計画が浮上。それから2年間、エンジニアの仕事と両立して、ベトナムの法令や会計制度など現法立ち上げに必要な要素を学び、計画に尽力した。

07年10月の現法設立とともに社長に就任。営業では会社の顔としてベトナム中を駆け回る一方で、社内ではプロセス管理やリスク管理を重視したプロジェクトの運営や、人事・経理など基幹業務の改善やシステム化を徹底的に行う。現地スタッフとのコミュニケーションを重視し、どんなに多忙でも相談に乗る。

■夢は広がっていく

学生時代はバックパッカーとして欧州、北アフリカ、中東、東南アジアの各国を転々とした。イラン滞在中の03年12月、イラン大地震のニュースが飛び込み、真っ先に被災地に駆け付けボランティアとして働く。異文化環境で外国人と働くことの醍醐味(だいごみ)を味わい、海外で働くことが夢になった。

海外を舞台として働く今、ベトナムを拠点にアジアへ展開することが仕事上の新たな夢だ。

今度は自分が、他者の視野を広げ外に飛び込んでいける環境を作りたい──。仕事外でも夢ができた。まずは外国人に日本の文化を触れさせたいと、外国人会員30人のホーチミン市剣道愛好会の会長を務め、剣道だけでなく日本の文化を伝えている。直近の目標は来年シンガポールで開かれる剣道アセアン大会へのベトナム出場で、ハノイ剣道愛好会と連携し、指導に励んでいる。

■ツールより人

剣道ではいくら上等な竹刀や防具を使っても、勝敗は人の技術と心構えで決まる。団体戦では責任感や連帯感が欠かせない。プラント設計にも通ずるものがあるという。

辰星技研は、プラント設計の最先端技術と言われる英AVEVA社の3D─CAD(コンピューター支援設計)を使用する。時間短縮や正確性向上、人為的ミスの防止などで威力を発揮する。

しかし、基本があって初めて高度なツールが使いこなせる。プラント設計では、配管や機器など生産設備に関わるものすべての設計根拠を理解することを方針とした。

報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の実施でチーム内連携も強化した。連帯感が生まれ、ベトナム人スタッフがチーム内での自分の役割を自覚し、責任を持つようになった。

一度、プロジェクト期間中に深刻なミスが発覚したが、全員が修復に向け一丸となり、目標時間内のリカバリに成功した。

龍馬は日本を新時代に導いた。今、ベトナムを拠点にアジアへ安全なプラントを展開しようと、一人の若者がまい進している。(ベトナム編集部・小野賢輔)

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