JTBマレーシア支店長・作田修さん1963年東京都生まれ。87年青山学院大学経済学部卒。ニュージャパンツアーズを経て、96年JTB入社。香港支店に配属され2004年からマレーシア勤務、10年から現職。週末は趣味のゴルフのほか、家族とともに中華やイタリアン料理などの外食やショッピングなどをして過ごす。 地場旅行会社との提携で活路2011/9/22
東日本大震災の発生から半年。日本への旅行などを検討するためJTBマレーシアに来店する人の数は、依然として震災前の50%の水準にとどまっている。これを受け、旅行商品を地場旅行会社を通じて販売する方向にシフトした。一方、昨年12月には格安航空エアアジアの長距離部門エアアジアXが羽田便を就航。“手軽な”マレーシア〜日本の旅行が可能となり、双方の市場で個人旅行は拡大傾向にある。マレーシア支店のトップとして、刻々と変化する市場の中で業務拡大に取り組んでいる。 ■見本市の日に震災発生 業務はインバウンド(日本・海外からマレーシアへの旅行)が80%、アウトバウンド(マレーシアから日本などへの旅行)が残る20%。震災後にはアウトバウンド業務がすべてキャンセルとなったほか、日本からのマレーシア旅行も冷え込んだ。震災が発生した3月11日はくしくも年2回の観光見本市「MATTAフェア」の開催初日。見本市用に作った旅行商品もその日に入った予約もすべてなくなった。 ただ、ここ2〜3カ月で復調の兆しも見えてきた。震災前から計画されていた日本への修学旅行4件のうち、7月に1校が催行に踏み切った。「学校に足を運び校長をくどいた」ことが奏功し、反対していた生徒たちの親も日本は大丈夫なんだとの認識を持つようになった。今年11〜12月には2校目の修学旅行も催行される予定だ。 震災がきっかけで旅行商品の販売方法も見直した。競合他社をライバルとするのではなく、日本旅行を盛り上げる同業者として協力していく方が良いと判断。JTBが持つ日本での独自に契約するホテルや旅館、レストランなどを組み込んだツアーで地場旅行会社の日本旅行商品と差別化を図り、販売を持ちかけた。「この販売形態ではJTBの名前が出ないこともあるが、それでも日本旅行が売れれば利益になる」。 エアアジアXの羽田便就航も日本旅行に追い風となっている。JTBワールドバケーションズは羽田便の就航記念キャンペーンを実施しており、「今後も提携を深めていきたい」考えだ。「マレーシアの良さを日本にアピールしているが、なかなか伝わらない。エアアジアを通じて実際に訪れてくれる人が増えればその良さが伝わるはず」と分析する。ただ、これらの旅行会社を通さない個人旅行者にどうやってJTBの商品を売っていくかは今後の課題だ。 ■東京勤務で沸く海外志望 学生時代からグローバルな人間になりたいと思っていたこともあり、海外勤務が比較的多そうな旅行会社に就職。タイ、シンガポール、マレーシアなどを飛び回った後に東京で勤務していたが、再び海外に出たい気持ちが募った。そんなとき、中国返還前に旅行ブームが起きていた香港でJTBの人材募集に応募して入社。香港支店で8年間勤務した後、マレーシアに赴任した。 マレーシア業務の中では地元業者との細かいトラブルも多い。数年前に催行した日本の自動車会社の招待ツアーでは、歓迎イベントで使用する首飾りを600人分を発注したが、会場に行ってみると300人分のみ。しかたなく、近くの病院の花屋から代替品を購入して対応したこともあった。 ■「日本以外」を拡大 マレーシアで支店長となってからは、アウトバウンド業務における地場企業との提携のほか、グローバルインバウンド(日本人以外のマレーシアへの海外旅行)業務の開拓も目指している。この間もインドの製薬会社の報奨旅行を催行した。「日本旅行は引き続き主力だが、それ以外にも業務を多角化していく必要がある」。ただ、これらの新たな業務拡大への取り組みは始まったばかり。軌道に乗るまでは見守っていきたいと考えている。 「マレーシア人にとって勇気や力強さを表す国のシンボル的動物、ハリマオ(マレーシア語で虎)と呼ばれた谷豊のように、現地の人から信頼されるようになりたい」。地場旅行会社やエアアジアとの提携は始まったばかりで今後の提携拡大は未知数だが、社内業務の方向転換は待ったなしだ。(マレーシア編集部:竹内悠) >>この目次トップへ[P R] [P R] [P R] |