香港 2009年4月1日(水曜日)
マルチビザ、深センできょうから[観光]
深セン市はきょう1日から、同市戸籍者を対象に香港マルチビザの発給を開始する。有効期限は1年で、何回でも香港を訪れることが可能。対象者は220万人に上り、金融危機で打撃を受けた香港の観光業、小売業にとっては景気回復の起爆剤になると期待される。
深センではこれまで◇年1回◇年2回◇3カ月1回◇3カ月2回――の香港訪問を認めるビザを発給していたが、今後は回数制限のないマルチビザが取れるようになる。地元メディアによると、同市公安局出入境管理処が開いた説明会で、江峰・副処長は「1日に複数回行き来することも可能だ」と述べた。
マルチビザの有効期限は1年。1回の訪問につき7日間まで香港に滞在できる。
■ビザ発給専用施設も新設
公安局によると、マルチビザを申請できる戸籍者は約220万人。料金は100人民元(約1,400円)で、これまでのビザと同様の手続きで取得できることから、短期間に申請者が殺到することも予想される。
このため同局は、香港マルチビザを専門に扱う出入境事務所1カ所を新設するなど、既存の事務所7カ所と合わせて68カ所の窓口を増設。他部門から100人、臨時職員237人を増員してビザ発給作業に当たる。
将来的には、インターネットや郵便での手続きを導入することも視野に入れている。
■密輸対策を強化
深セン市民の来港が急増することで、羅湖などのボーダー管理も大きく変わることが予想される。出入境管理処の江峰・副処長は「香港市民と同様に、深セン市民も指紋認証による自動出入境審査が可能になるよう技術研究を進めている」と明らかにした。
税関当局は、マルチビザを利用して香港からブランド品や食品、電子製品などをハンドキャリーで中国本土に持ち込む脱法行為が増えることを警戒。こうした“運び屋”に対する監視体制を強化する方針だ。
■小売業界に期待感
深セン戸籍者に対するマルチビザ解禁は、中央政府が昨年12月に発表した香港支援策14項目の中に盛り込まれた。曽蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官は今年3月、広東省の汪洋書記、黄華華省長と会談し、発給を4月から始めることを正式決定。5月からは深センに住む非広東省戸籍者の香港旅行規制を緩和することでも合意している。
金融危機の影響でアジア、欧米をはじめ海外からの香港旅行客が軒並み落ち込む中、本土からの旅行者は1〜2月も前年同期比12.3%増加。特に個人旅行者は17.5%伸びており、それだけに香港の観光業界、小売業界では今回の政策に対する期待が高い。
観塘の大型ショッピングモールapmは、深センからの旅行者増加を見込み、800万HKドル(約1億円)の販促費を投入すると発表。VIPカードの発行などにより、旅行者の囲い込みを図る計画を明らかにした。<香港>