香港 2009年4月2日(木曜日)
深セン証取に中国版ナスダック[金融]
深セン証券取引所に来月、中国版ナスダックが登場する。10年越しの構想がようやく実現、中国本土の中小企業の資金調達手段の一つとして期待される。ただし、成長企業市場(GEM)を抱える香港取引所(HKEX)にとっては、競合関係となり、市場改革を迫られる可能性もある。
中国証券監督管理委員会(証監会)は3月31日、中国版ナスダックとも言える新興企業向け市場「創業版」を来月1日に深セン証券取引所に開設すると発表した。成長途上、または創業段階にある企業を主な対象とみており、成長性の高いベンチャー企業などの創業熱を高めると期待されている。これまで銀行融資に偏り、資金調達費用がかさんでいた本土の中小企業にとっては、資金調達ルートの多様化につながるため、資金不足という古くて新しい問題の解消に資するとの声もある。
1日付信報によると、上場するためには◇経営実績3年以上◇純資産が2,000万人民元(約2億8,600万円)以上◇発行済み株式総額が3,000万元以上――の条件以外に、「過去2年の純利益が合計1,000万元以上で、2年連続増益」または「売上高5,000万元、純利益500万元以上で、過去2年の増収率が30%以上」のどちらかを満たす必要がある。
証監会は最初の上場企業や時期などについて具体的に言及していない。ただし、業界関係者は、新規株式公開(IPO)の審査には2〜3カ月の時間を要するため、上場第1号は8月前後で、最初は10社ほどが上場すると予想している。
■10年越しの構想実現
中国の創業版構想は、古くは1980年代にさかのぼる。ハイテク産業育成のためにと1984年、構想が初めて浮上したが、当時は改革開放政策が始まったばかりで、金融システムも未成熟だったため足踏み。90年代半ばには専門家が米国を視察するなどし、98年に国務院(中央政府)が財政部や中国人民銀行(中央銀行)、証監会などと専門小組を編成し、新たな証券市場の開設準備に着手した。
その後、世界各地の新興企業向け市場の成功例、失敗例などの動向をみながら研究が進んだ中、2004年に深セン証取に「中小企業版」が登場した。中国本土のある投資ファンド関係者は、創業版と中小企業版の機能重複を指摘しており、資金調達ルートとして企業の需要を分け合うのではと冷めた見方がある。しかし一方で、モルガン・スタンレーの中国事業幹部は「中国証券市場の重要な一歩。中小民間企業の発展に向けた資金不足解消の一助となる」と高く位置づけている。
■GEMには脅威か
中国版ナスダックが、HKEXのGEMに与える影響については、香港地場系の泓福証券研究部主管、トウ聲興氏は「香港の競争力をそぐ。政府や関係機関は国際金融センターとして対応策を考える必要がある」と警告、GEMの脅威になるとの厳しい見方を示している。
GEM上場企業は3月末時点で174社。時価総額は458億1,100万HKドル(約5,800億円)とメーンボードのわずか0.45%だ。取引額も少なく、好業績を上げる企業はメーンボードへと上場先を移す動きも続いている。<深セン>