シンガポール  2009年4月28日(火曜日)
日系人材育成、リストラ対策セミナー開催[労働]

日系人事・人材育成コンサルティング会社インキュベーター・インスティテュート(Tii)は27日、「日系企業、経営幹部のためのコーポレート・リストラクチャリング対策セミナー」を開催した。会社の業績回復、組織の再活性を進める上で必要なリストラクチャリングについて、整理解雇の適切な方法や日本人が犯しやすいリスク、シンガポールの解雇に関する法律などを説明した。



Tiiの斎藤一恵代表取締役は同日、NNAに対し、「アンケートでは、参加の理由で“将来的なリストラへの可能性を考慮した”“法的な分野での相談事項を抱えていた”といった声が聞かれた。特に法解説に興味を抱く人が多かった」と説明した。

1部は斎藤氏が「組織再編のための適切な整理解雇計画・経営人事の視点から」と題したテーマで説明。「リストラという言葉は、日本では一般的に解雇の代名詞として使われるケースが多いが、本来は企業が成長するための構造改革を指す」と指摘した。リストラを開始する上で必要なのは「会社の成長戦略を描くこと」。整理解雇を進めていく上では、第1段階として「状況確認、整理解雇人員数と解雇の試算などの聞き取り・リスク分析」、第2段階では「シナリオ策定、従業員への説明、書類作成など戦略策定・準備」、第3段階では「面談のリハーサル、説明会など整理解雇実施」のプロセスを踏むことが大切としている。

戦略策定では解雇手当などの条件を設定する際、できるだけみな同じ条件であることがポイント。対外的には、解雇というマイナスの行動でも企業がどう対応したかによって、業界での見方が変わり逆にチャンスになることもある。当地の日系企業の一般的な退職手当は、勤続年数に月給を乗じた額が必ずしもあてはまるわけではない。「日系企業ではローカル社員の勤続年数が10〜20年とかなり長い場合もある。長く勤めれば出してあげたくなることもあるが、キャッシュフローに余裕があるなら別として、清算・閉鎖する企業はこの限りではない」という。解雇通知面談では、もし通告を受けた社員が泣き出しても、面談者の横に第3者の女性を同席させることで、面接者が直接謝罪や同情の言葉をかけるよりトラブルを避けられるとアドバイスしている。

2部では、タンペンチン法律事務所の外国法弁護士、中川真理子氏が「整理解雇・解雇に関する法律の要点整理と実務例」を説明。国内の雇用法は、適用範囲が「雇用契約関係のある従業員(委任・請負契約は雇用契約ではない)となっており、さらに整理解雇、退職金などに関する規定の対象となるのは「基本給4,500Sドル以下の肉体労働者」「基本給2,000Sドル以下の従業員」。雇用法で定める解雇予告期間は、契約に定めがない場合、▽勤続2年以上5年未満なら2週間▽同5年以上なら4週間。出産予定日から6カ月以内に出された解雇通知は、出産手当を支払う必要がある。一方、雇用法が適用されない場合は、個別の雇用契約や労働協約に従う。整理解雇は中央積立基金(CPF)納付対象とはならない。

第3部では、人材マネジメント、タレント2社のマーク・パウエル氏が「組織変革とアウトプレースメント(再就職支援)の活用」について紹介した。

質疑応答では、減給や技能の不一致などによる解雇などの質問が寄せられた。また「解雇の際、謝罪の言葉は必要か」との問いで、斎藤氏は「あげ足をとられたり、相手に交渉権をにぎられたりする可能性もあるので面談で使うのは避けた方がよい。まず目的を明確に話すことが必要」と説明した。

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