インドネシア  2009年4月29日(水曜日)
新型流感発生、日系企業は受け止め冷静[社会]

インドネシアの日系企業は、日本政府が宣言した新型インフルエンザの発生を冷静に受け止めている。高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)を起源とする新型の発生に備えてきた企業は、メキシコが発生源の豚インフルエンザ(H1N1)による新型に対して当面は静観する見込みだ。

世界保健機関(WHO)は27日、インフルエンザの世界的な大流行(パンデミック)発生危険度を「3」(フェーズ3=動物からヒトへの感染か、限られた範囲でのヒト同士の感染)から「4」(フェーズ4=持続的なヒト同士の感染)に引き上げた。ワクチン製造には6カ月程度かかる見通しだが、抗インフルエンザ剤「タミフル」「リレンザ」が有効とみられている。

在インドネシア日本大使館では、28日に定例の邦人安全対策連絡協議会を開催した。多くの時間を新型インフルエンザの発生について割いた。鳥インフルエンザ起源の毒性の強いインフルエンザで危険度4の場合は感染国からの帰国勧告が見通されていたが、毒性の低い豚インフルエンザ起源の新型に対しては、インドネシアでの感染もみられないことから、日本政府としての帰国勧告は出されていない。参加した企業側からも駐在員家族の帰国などの措置は取られない見通しが示されている。日本人学校からも特別な措置などは報告されていない。

ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)の天谷浩之事務局長は、協議会の議事録を早期に公表することで情報提供を行いたいと説明している。

東部ジャワ日本クラブ(EJJC)の益田一事務局長は、当面は静観することになるとの見通しを示した。

一方、インドネシア商工会議所(カディン)は、これまでのところ特別な対応はしないと明らかにし、会員企業に対して感染国への渡航延期なども勧告する予定はないと説明している。

在ジャカルタ日本総領事館は28日、邦人に対し警戒しつつ正確な情報に基づいた冷静な対応を促している。現段階では飛沫(ひまつ)感染と接触感染が主な経路と推測され、マスクの着用や手洗い、うがい、人込みを避ける、ドアノブなど良く触れる場所を清潔に保ち消毒するなどの日常的な予防を勧めている。

WHOによると、27日時点で感染者が確認されているのはメキシコで26人、米国で40人、カナダで6人、スペインで1人となっている。メキシコ政府は疑い例を含め149人が感染死したと説明している。

■豚・鳥流感のウイルス集合懸念

鳥インフルエンザウイルスなどの研究で、東ジャワ州スラバヤのアイルランガ大学とも提携する神戸大学医学部付属医学医療国際交流センターの堀田博センター長は、NNAに対しメキシコで多くの死者を出しながら、同国以外の感染国では感染者の症状が軽い現状について、原因は「わからない」と述べた上で、いくつかの要素が考えられると指摘している。

これらは、▽衛生環境の違い▽メキシコ国内では現在の疑い例以上に感染が広がっており重症者だけが判明している▽ウイルスの変異で毒性が強くなった地域があり、国外で感染しているウイルスの毒性が弱い――などの例を挙げた。実施中のWHOの調査で要因が明らかになると見通した。

感染範囲については、パンデミック(フェーズ5〜6)まで進行する可能性が高いものの、米国やカナダの感染例のように毒性が低いままなら大流行でもパニックに発展しないとみられる。

一方、感染の過程でウイルスが変異し、病原性が高まる可能性は排除できないと指摘。豚は鳥やヒトからのウイルスに感染する性質がある。体内で遺伝子が混ざり変異する「遺伝子再集合」が起こり、豚インフルエンザと鳥インフルエンザによる新型が発生する可能性もあるという。ただヒトが両方のインフルエンザに感染することは考えにくいとの見解を示した。

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