韓国 2009年4月29日(水曜日)
《安全》韓国でも不安広がる、豚インフル発生か[医薬]
豚インフルエンザの感染が世界中で急速に拡大する中、韓国でも51歳の女性に感染の疑いがあることが28日、分かった。アジア初の感染者となる可能性もあることから、政府は対応に追われている。一方、在大韓民国日本国大使館は「各自が衛生管理に気をつけてほしい」と注意を呼びかけた。日本人学校や日系航空会社の韓国便には現在のところ大きな混乱は起きていないもようだ。
感染が疑われているこの女性は“推定”患者と認定され、現在、城南市(京畿道)の病院に隔離されている。感染の最終確定までにはしばらくかかる見通しだ。女性は今月17〜25日までメキシコを旅行した後、37.7度の熱を出したという。韓国疾病管理本部は、女性と同じ飛行機に搭乗した乗客315人全員に対し、インフルエンザ疑似症状の有無について追跡調査を行っている。
■来月10日まで全路線で検疫
ヘラルド経済新聞などによると、韓国政府は現在、空港での検疫を強化するなど対策に努めている。警戒レベルをこれまでの「関心」(第1段階)から「注意」(第2段階)に引き上げるほか、メキシコの一部地域を「旅行自粛」地域に指定した。また、メキシコ産や米国産豚肉の通関検疫を一時中断し、事実上輸入を停止する措置も検討している。メキシコなど北米路線からの入国者のみを対象に行ってきた検疫も強化し、来月10日まで全路線で実施する。
政府はこれまで、水際対策の徹底に自信を示してきた。だが、韓国人の感染の疑いが濃厚になるに連れ、不安の声は高まるばかりだ。今月17日以降、メキシコから米ロサンゼルス・テキサスを経て韓国に入国した人の数は推定7,000〜1万人。感染に関しては「自己申告」に頼っている状態で、更なる対策を求める声が上がっている。空港ゲートには検疫所がサーモグラフィーを設置するなど対策を取っているが、発症までには3〜7日かかるとの報告もあり効果には疑問も残る。
政府は韓国内でワクチンを生産することを検討しており、6カ月以内に650万人分を準備するとしている。
■日系社会の反応は
日本大使館・領事部は、現時点では在韓日本人および韓国を訪れる日本人には手洗いやうがい、マスク着用など個人レベルでの衛生管理を促す方針だ。また、メキシコなどに渡航予定のある在韓日本人に対しては、日本外務省などの情報を確認するよう呼びかける。
ソウル日本人学校は「現時点では情報収集のみを行っている」とし、具体的な対策はまだ取っていないという。今後は日本文部科学省の指導の元に対応を決定する計画だ。
日本航空(JAL、本社・東京都品川区)と全日本空輸(ANA、本社・東京都港区)は対策本部を設置。現在は情報収集を行っており、韓国便は通常通り運航しているという。今後、関係省庁の指示に沿って対応する方針だ。
■韓国企業にも影響
一方、北南米に進出している韓国大手各社も、出張の延期や外出禁止令を出すなど対策に追われている。サムスングループはメキシコに駐在員を30人派遣しているほか、LG電子は約50人、ポスコは19人、パンテックは約10人の韓国人社員が現地で働く。現地職員を含めて韓国企業内での発症例は報告されていないが、外出や取引先との接触などが禁じられており、ビジネスにも支障が出始めているという。
そのほか、旅行業界では北米地域を中心にツアーのキャンセルが出始めており、南米専門の旅行代理店、トラベルバスは「来月中はメキシコ向けツアーのほとんどが中止されるのでは」と話す。
流通業界では、精肉店の中には売り上げが30〜40%程減少したところもあるほか、デパート3社も総じてダウン。大型スーパーマーケットは新世界Eマートが27日、先週と比べて5.1%減となったほか、サムスンテスコ・ホームプラス、ロッテマートはそれぞれ8.0%減、4.2%減少している。
豚インフルエンザの拡散で、ヒトやモノの動きが止まり、回復に向け動き出した景気が再び停滞するとの懸念も高まっており、今後の動きに注目が集まっている。