フィリピン  2009年6月2日(火曜日)
大統領が訪韓、風力発電など共同事業に合意[政治]

アロヨ大統領は5月30日から外遊先の韓国・ソウルで、李明博大統領との首脳会談や、政府系機関・企業の関係者との協議を行ったほか、韓国・フィリピン国交樹立60周年記念行事や各種イベントに参加した。両国の政府省庁、民間企業は風力発電や農工複合産業団地の共同開発など、数々の覚書に調印した。大統領は6月1日から済州島で開催される、韓国・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議(サミット)に出席し、金融危機や環境問題などについて協議した。





アロヨ大統領は5月30日、韓国の李明博大統領との首脳会談で、経済、通商、文化、教育分野で両国間の関係強化を確認した。李大統領との首脳会談は今回が初めて。

李大統領は、電力産業、鉱物開発などの分野で両国間の投資協力体制が順調に進んでいることに触れながら、フィリピン政府に対して、投資拡大のために、外国人による投資環境の改善を要請。フィリピンに対しての投資強化を示唆した。

これに対して、アロヨ大統領は、「韓国企業の投資拡大に最大限協力する」と答えた。特に、農業分野に対しては、韓国側の積極投資に感謝の意を示し、両国の関係強化を積極的に図っていくことを明言した。

フィリピンと韓国は1949年に外交関係を樹立し、今年で60周年を迎えた。韓国知識経済部によると、49年当時のデータはないものの、両国間の貿易額はここ40年で急拡大した。国家統計局(NSO)によると、2008年のフィリピンの国・地域別輸出額で韓国向けは第7位で、前年比41.3%増の25億2,075万米ドル。韓国からの輸入額は第7位で、前年比9.7%減の29億5,888万米ドルだった。

■投資案件でも合意

今回の外遊を機に、各種事業で覚書を交わすなど、積極的に両国間の関係強化も図った。

ロムロ外相は、韓国外交通商部の柳明桓長官と、フィリピンに農工複合産業団地(MIC)の開発調査を開始する内容の覚書を交わした。開発規模は10万ヘクタールと、ソウル市の1.6倍に相当する広さという。

フィリピン政府が最終候補地を選定し、開発の妥当性などを調査してから、本格的な開発計画を策定する。産業団地の造成は、フィリピン側にとっては、深刻化するコメ不足が解消でき、韓国側としては、飼料用トウモロコシの安定輸入が実現する。

産業団地では、コメやトウモロコシなど農作物に加え、加工施設の設置、バイオ燃料など再生可能エネルギー業者や農業関連メーカーの入居を目指す。入居企業間の協力関係も構築していく方針だ。

韓国の政府関係者は、「依然として課題は残っているものの、将来的には事業規模を40万〜50万ヘクタールに拡大させる計画もある」と同事業に強い期待感を示した。

また、フィリピンと韓国は、再生可能エネルギー分野でも提携した。フィリピンのオルターエナジー、投資委員会(BOI)、韓国東西発電、韓国輸出入銀行の4者間で、フィリピン再生可能エネルギー事業の覚書を交わした。ルソン島北部イロコスノルテ州ブルゴス、カガヤン州アパリなど5カ所に風力発電団地を造成するという。

事業規模は、全体の設備容量が206メガワット(MW)。韓国の済州道の風力発電総容量(44.4MW)の約4.6倍規模に相当する超大型プロジェクト。総事業費は4億5,000万米ドル。

アロヨ大統領は、韓国東西発電の李吉久社長との会談で、フィリピンでは「再生可能エネルギー法」が昨年12月に成立してから初の投資案件になることに触れ、「積極的に支援していく」ことを明言した。

韓国東西発電は韓国電力公社(KEPCO)の発電子会社。フィリピンではセブに石炭火力発電所を建設中で、2011年の完工を目指している。

このほか、環境天然資源省は、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)とクリーン開発メカニズム(CDM)事業で覚書を交わした。フィリピン側が、有望なCDM事業の情報を韓国側に提供し、KOTRAが資金面などで事業支援するという。

また、両国の労働相は、韓国が向こう3年間に年8,000人のフィリピン人労働者を受け入れることで合意した。

■特別サミットにも参加

ASEANと韓国は1日、対話関係樹立20周年を記念して韓国の済州道で、韓国ASEAN特別サミットを開幕した。各国間の首脳会談、多国間会議などを通じて「新アジア外交構想」を具体化するのが狙いという。

韓国とASEAN10カ国首脳は同日、特別首脳会談を開催し、金融危機による影響、環境対策、エネルギー問題、安全保障などについて議論した。

韓国での滞在期間は5月30〜6月2日。

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