オーストラリア 2009年11月20日(金曜日)
ETSから農業除外、与野党が修正案に合意[農水]
連邦与野党は15日、炭素汚染削減計画(CPRS)法案の修正をめぐる交渉の中で、農業に排出権取引制度(ETS)を導入しないことで合意した。ニューサウスウェールズ州農業者連盟(NSWFF)は、これを歓迎すると発表した。
ウォン気候変動相は15日、「国益のために野党修正案をめぐる交渉を前進させる」と語り、農業で野党に譲歩したと表明した。与党原案は、2011年のETS施行時には農業への導入を見送り、13年までに導入の是非を決めた上で、導入する場合は15年以降に先送りするとしていた。
また、同相は「農業をETSに導入しないからといって、生産者が問題解決に参画しないわけではない。その点で全国農業者連盟(NFF)と意見が一致している」と述べた。生産者の排出権クレジット算出方法について、野党側と交渉を続けていく方針だ。
一方、NSWFFのアームストロング代表は16日、農業分野の除外を歓迎すると発表した。同時に「まだ疑問は残っている」として、「二酸化炭素(CO2)固定」の技術的確立を国際社会に働きかけるようあらためて政府に求めた。
CO2固定は、土壌・作物中の温室効果ガスが全体の排出量をオフセット(相殺)するという新しい概念。生産者にとっては、ETSは生産コストを増大させる反面、CO2固定が認められれば、排出権クレジットが新たな収入源になるという期待もある。ただ、既存の国際的な枠組みは二酸化炭素固定を認定していない。連邦政府もこれまで推進に消極的だった。
なお、与党のCPRS法案は既に下院を通過、近日中に上院で採決される。与党が過半数に満たない上院で与党が法案を通過・成立させるには、連立野党の賛成が必要なため、与党は現在、野党が提出した修正案について交渉を行っている。
ただ、連立野党内では、国民党が法案に反対、自由党内にも保守派を中心に反発が強い。このため、与野党交渉が妥結しても野党側に多数の造反者が出る可能性があり、成立の行方は依然不透明だ。8月に一度上院で否決された同法案が再否決されれば、豪憲法の規定で与党は両院解散同時選挙に踏み切ることが可能となる。
豪農業に大きな影響を与える同法案は、12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)を控え、最大の山場を迎えている。【11月20日付NNA豪州農業ニュースより】