フィリピン 2009年11月20日(金曜日)
《知財》特許出願の90%超が非居住者、当局が危機感[経済]
知的財産権局(IPO)はこのほど、世界知的所有権機関(WIPO)の報告を引用し、国内の特許出願のうち、90%超が外国人や外国企業・団体といった非居住者で占められているとして、国民と地場企業・団体に対し、積極的な特許出願を呼びかけた。19日付ビジネスミラーなどが伝えた。

WIPOが9月に発表した2009年版世界知的財産権指標報告によると、2006年にフィリピンで出願された特許の件数は3,265件。うち国民や地場企業といった居住者の出願は231件にとどまり、非居住者の3,034件(92.9%)に圧倒された。
他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国をみると、シンガポールは出願件数9,951件のうち、93.0%に当たる9,255件が非居住者(07年のデータ)。マレーシアは2,372件のうち71.8%の1,702件(同)で、インドネシアは4,606件中、93.9%の4,324件が非居住者による出願だった(06年)。
こうした中、タイは出願総数1,388件中、非居住者の出願は36.8%の511件(07年)にとどまっており、比率の上では居住者が優勢だ。
特許権付与の統計になると、フィリピンは06年、計1,053件のうち、96.4%に当たる1,015件が非居住者だった。
現在は、非居住者がさらに優勢。IPOがまとめた今年1〜8月の特許権の付与統計では、付与件数766件のうち、実に98.0%に当たる751件が非居住者だ。これに対し、特許権以外の産業財産権(工業所有権)でみると、実用新案では231件中、非居住者は20.3%の47件。意匠権は381件中、非居住者は41.7%の159件と、居住者の方が強い。
IPOのクリストバル局長は、特許の出願と付与で国民や地場企業・団体が著しく劣勢になっている現状に危機感を表明。「知的財産権は国家を発展させる有用な道具だ」などとして、「フィリピン人の発明家や起業家、地場企業などは、積極的に特許を出願するべきだ」と訴えた。
■事態改善へ施策
クリストバル局長は、国民と地場企業・団体が特許出願に消極的な原因として、◇高等教育面を含めた知財政策の不備◇審査能力不足――を挙げた。
IPOはこうした弱点を改善するため、高等教育委員会(CHEO)と提携した大学など高等教育機関の知財戦略開発や、知的財産権研究研修所の創設(08年)、セブ市やダバオ市など地方主要都市へのIPO事務所開設などといった手を打っているという。
なお、WIPOの報告では、フィリピンは新興20カ国のうち、特許出願件数ではウクライナ(06年、5,890件)、インドネシアに次いで3位となった。