タイ 2009年11月20日(金曜日)
人材育成面で差異、日タイ企業調査[経済]
国立チュラロンコン大学サシン経営管理大学院などが在タイ日系企業とタイ企業を対象に実施した調査で、日タイ企業の中間管理職の育成に関する差異が浮き彫りになった。日系企業が企業内での育成を重視する一方、タイ企業は優秀な人材のヘッドハンティングを重視する傾向が指摘された。経営課題などほかの調査項目では、大きな差異はみられなかったという。

同大学院のコンサルティング機関、サシン・マネジメント・コンサルティング(SMC)と、日本能率コンサルティング(JMAC)タイランドが共同で調査を実施した。
人材育成については、日系、タイ企業ともに中間管理職の育成に力を入れている点で共通。ただ、最重要課題に「即戦力の管理者獲得」を挙げるタイ企業が27.8%に上った一方、日系企業は6.6%にとどまり、タイ企業が優秀な人材のヘッドハンティングを重視していることが分った。日系企業は、企業内での人材育成を重視する傾向があった。
一方、現在の経営課題として、日系、タイ企業とも「顧客需要への対応」を挙げる企業が多く、SMCとJMACタイランドは「需要の多様性を懸念している」と分析。生産拠点から消費拠点へのタイの変容を示唆していると指摘した。事業戦略では日系、タイ企業とも「価格競争力」「製品(サービス)差別化」への関心が高かったという。
調査は7〜8月に実施し、日系89社、タイ企業49社から回答を得た。業種別では、日系企業の約9割が製造業、タイ企業は製造、非製造が半々だった。
調査項目は、(1)現在の経営課題(2)人材育成および管理(3)戦略(4)財務管理(5)商品開発(6)オペレーション(生産)(7)販売およびマーケティング――。結果として、日系、タイ企業の間にほとんどの項目で大きな差異は見られなかったという。
SMCとJMACタイランドは18日、調査結果に基づくセミナー「競争優位の獲得から持続にむけて」を開催。SMC日本センターの藤岡資正センター長らがプレゼンテーションを行った。
日系、タイ企業とも中間管理職の育成を重視しているという今回の調査結果を踏まえ、SMCとJMACタイランドは、来年3月に中間管理職育成に関するワークショップを開催する。30人規模の対話型方式で実施する計画という。
JMACタイランドの勝田博明社長は、今後もSMCと共同で調査、ワークショップを定期的に実施する方針を表明。在タイ企業の支援を通じて、タイ経済・産業の国際競争力向上に貢献したい考えを示した。
■日系向け事業を強化
サシンは1982年設立。経営学修士(MBA)コースなどの教育事業や、政策・企業戦略コンサルティングなどを行っている。SMCは市場調査など民間向けサービスを手掛け、今年に入って日系企業向けの事業を強化。日本センターを本格始動し、専任の日本人コンサルタントを置いた。
JMACとは包括的業務提携を締結。サシンの抱える国内での豊富な人脈やマクロの戦略レベルでの強みと、JMACが持つ現場の目線といった両者の特徴を生かし、包括的なコンサルティングサービスを提供できるという。今回の調査のほか、積水化学工業がタイで行うユニット住宅事業の事業化調査や、関西の若手経営者向けのセミナーなどを行った実績がある。