オーストラリア 2010年2月9日(火曜日)
連邦政府の銀行保証、3月末で終了へ[経済]
スワン財務相は7日、2008年10月に導入した銀行向けの保証制度を3月31日で終了させることを明らかにした。連邦政府は世界的な金融危機の影響から国内の銀行を保護するため、銀行口座を全額保証するほか、銀行による市場からの資金調達に関しても保証を提供してきた。政府は経済回復が安定感を見せ始めていることから同制度の廃止を決定したものの、中小規模の銀行にとっては痛手となる可能性も指摘されている。8日付地元各紙が報じた。
この制度の廃止により、銀行は4月以降、政府保証を利用した資金調達ができなくなる。銀行口座の全額保証も廃止されるものの、100万豪ドル未満の場合のみ来年10月まで保証を継続するという。
豪州に先立ち、米国やカナダ、フランス、韓国は昨年中に同様の保証制度を廃止している。英国でも既に段階的な制度縮小に乗り出しており、スウェーデンやドイツ、スペイン、アイルランド、デンマークなどがこれに続くとみられている。
スワン財務相は、「この保証制度がなければ国内銀行は融資の縮小を迫られ、貸付け金利はさらに上がっていただろう」と述べ、同制度の効果を強調。ただ、豪州経済と金融市場ともに大幅な改善を見せており、国内銀行はもはや保証制度を必要としていないと説明した。
国内の銀行はこれまで、信用ランク「AAA」を誇る連邦政府の保証を利用して国際金融市場から総額1,600億豪ドルを調達。このうち320億豪ドル以上が中小規模の銀行向けで占めている。保証制度導入前には、中小の銀行にとって資金調達がますます困難となり、大手行との競争が増す中、融資規模の削減を迫られていた。しかし現在では、国際市場での資金調達が容易になりつつあるという。
豪連邦準備銀(RBA)による利上げが相次ぐ中、大手行がRBAの利上げ幅以上に自行の貸付け金利を引き上げている状況を暗に批判するとともに、スワン財務相は、銀行の利益率が金融危機前の水準に回復していると指摘。「保証制度がなくなったからといって、(銀行は)調達コストの負担が増したなどと言い訳することはできない」とくぎを刺している。
■業界の大半は好意的
一方、政府による保証制度終了に対する銀行業界からの反発は限定的だ。クイーンズランド(QLD)銀行(BOQ)のリディー最高経営責任者(CEO)は政府が事前の相談もなく突然終了を決定したことを批判したものの、大手行を中心に業界関係者の間では「驚きではなかった」との意見が大半を占めている。
UBSのグラウンズ豪州部門CEOは、世界的にも同様の動きが見られ、保証制度の廃止は金融市場でむしろ好意的に受け止められているとコメント。シティグループのマーケット部門のランデル共同部長も、「業界は既に(制度廃止を)予期していた。国内銀行は十分に資金を確保し、必要な資本力を備えている」との見解を示している。
大手行の間では、ウエストパック銀が昨年12月に政府保証債を利用して90億豪ドルを調達して以来、政府保証債による資金調達は行われていなかったもよう。コモンウェルス銀(CBA)のフィッツジェラルド広報担当も、CBAは数カ月前から政府保証を活用しておらず、今後の資金確保にも問題ないと説明した。
ただ、中小の銀行にとっては今後、資金面で影響が出る可能性も指摘されている。住宅ローン会社オージー・ホーム・ローンズの創始者であるシモンド氏は、顧客からの預金がないノンバンクや信用組合といった小規模な金融機関では、大手行との競争で不利を被ると予測。豪銀行協会(ABA)でも制度終了に関する賛否は分かれており、小規模な銀行が3月末までに駆け込みで保証債を利用した調達を加速させるとの見方が広がっている。
政府は銀行向けの保証制度とは別に、各州政府が発行する債券に対する保証も今年末に終了させる意向を表明した。スワン財務相は、インフラ整備に向けた投資財源を確保したい州政府を支援するのに役立ったと強調しているが、これまで政府保証債に頼ってきたニューサウスウェールズ州やQLD州にとっては痛手になる可能性もある。