インド 2010年2月9日(火曜日)
スズキ、印での年産能力を125万台に拡大[車両]
スズキは5日、インド子会社マルチ・スズキの年産能力を現在の100万台から125万台に引き上げると発表した。従来は設備の老朽化に伴い北部ハリヤナ州グルガオンの工場の一部を閉鎖する予定だったが、年間の生産台数が初めて100万台に達する見込みとなったことから、方針を変更。かねて計画していた同州マネサール工場への第2ラインの設置と合わせ、全体の生産能力の拡大に踏み切る。
スズキによると、マルチ・スズキの2009年の生産台数は前年実績の2.3倍となる96万6,069台を記録。年度ベースでは09/10年度(09年4月〜10年3月)に102万7,000台を見込んでいるという。
マルチ・スズキは先月、約170億ルピーを投じてマネサール工場に第2ラインを設置すると発表。新ラインの年産能力は25万台で、12年4月に商業生産を開始するとした。これにより、同工場の年産能力は現在の30万台から55万台に拡大することになる。
スズキは当初、グルガオン工場が老朽化しているため、生産設備の一部をマネサールに移すと説明。マルチ・スズキ全体の年産能力は今後も100万台で変わらないとしていた。
スズキ本社の広報担当者は8日、これについてNNAに「ここ数カ月にわたって販売台数が前年実績を大きく上回っており、年間の生産台数が生産能力の限界である100万台に達する見通しとなったことから、計画を変更した」とコメント。グルガオン工場では老朽化した設備を更新し、現在の年産能力70万台を維持するとした。
また、マネサール工場への第2ライン設置に関しては、「従来のラインを延長するか、新たな建屋を建設するかは検討している段階」(広報担当者)という。グルガオン工場の設備更新にかかる費用は「分からない」(同)としている。
スズキがインドで「マルチ800」の生産を開始した1983年当時、同国の自動車市場の規模は10万台以下だった。だが91年の経済自由化を受け、90年代半ばから市場は急速に拡大しており、2009年には150万台規模に到達。マルチ・スズキのシェアは約55%となっている。
インドでも2008年秋のリーマン・ショックを受け、自動車市場は一時縮小したものの、物品税の引き下げなど政府の支援策が奏功し、このところ新車市場は急速に拡大している。景気回復により政府が景気刺激策の巻き戻しに動くとの見方も出ているか、その影響についてスズキの広報担当者は「現時点では何とも言えない」とした上で、「わが社としては今後も従来通り、市場環境に合った製品を開発・投入していくだけ」と語った。
スズキは昨年12月、欧州最大の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)と包括提携を結んだ。広報担当者は今回、「VWとは具体的な提携内容で協議中。できることから優先的に取り組んでいきたい」と述べたものの、「(いつまでに具体策がまとまるか)明確な時期は分からない」とした。
■リッツの輸出拡大へ
マルチ・スズキは昨年5月にインド国内で発売した小型車「リッツ」を、インドネシアに続いてほかの東南アジア諸国や中東に輸出することを視野に入れている。同社幹部のシャシャンク・シバスタバ氏の話として、7日付PTI通信が伝えた。
マルチ・スズキは先月、リッツのインドネシアへの輸出を開始。初回は500台を出荷した。シバスタバ氏は「インドネシア以外の市場に輸出する可能性も探っている」とした上で、すでに同社が勢力を誇る「東南アジアや中東は、リッツにとり非常に良い市場に成り得る」との見方を示した。さらに、モロッコ、エジプト、アルジェリアなどに輸出する可能性にも言及。すでに輸出を始めているインドネシアのディーラーからも意見を聞いて、最終的に決定を下す考えだ。
リッツは排ガス規制「バーラト・ステージ4」(欧州連合=EU=のユーロ4に相当)に準拠した新型エンジンを搭載し、インドの乗用車セグメントの中で2番目に小さい車種の「A2」に属する。発売以来、累計で5万1,000台余りが売れているという。