シンガポール 2010年3月8日(月曜日)
科学技術振興機構、共同研究3件を支援[経済]
独立行政法人の科学技術振興機構(JST、東京・千代田)は5日、科学技術研究庁(ASTAR)と進めている「日本・シンガポール研究交流」の一環として、物理科学分野で両国の共同研究案件3件を支援対象に選定したと発表した。3年にわたり試験研究費などを援助する。同研究交流の下で支援対象が選ばれるのは今回が初めて。
JSTとASTARは昨年3月、両国が「物理科学の機能的応用」分野で3年間にわたり研究協力する「日本・シンガポール研究交流」について覚書を交わした。JSTの担当者は同日、NNAの取材に対し「覚書の下で、3回にわたり研究募集分野を設定して支援対象案件を募集することになった。第1回となる今回は昨年8〜9月にかけて『物性材料・デバイス』『フォトニクス・ナノオプティクス』の2領域で募集を行い、今回3件を選出した。支援規模は日本の研究者にはJSTから1件当たり最大で総額2,250万円、シンガポール側にはASTARから3件で計200万Sドルとなる」と話した。
JSTは2003年から、研究者の国際的な交流を推進する戦略的国際科学技術協力推進事業(SICP)を実施している。文部科学省が協力対象国ごとに特に重要な分野を設定し、相手国の研究者との研究交流・共同研修を推進するもので、アジアではシンガポールのほか、タイ、インド、中国、韓国と同様の協力関係を構築している。SICPには研究交流型と共同研究型の2種類があり、後者の方が支援額の規模が大きい。シンガポールとの提携は研究交流型。日本の大学、研究機関、企業とASTARの研究機関にそれぞれ属する研究者が現在共同で取り組んでおり、付加価値創出が期待できるプロジェクトが支援対象となる。今回は11件の応募があり、JSTの国際科学技術協力推進委員会などによる審査、協議を経て3件を採択した。
支援対象に選ばれたのは、▽テラヘルツ波周波数領域分光法による偏光分析システムの開発(理化学研究所基幹研究所テラヘルツ光源研究チームとASTAR情報通信研究所=I2R)▽テラビットルータとスーパーコンピュータのための1024×1024光スイッチング技術(情報通信研究機構新世代ネットワーク研究センターとI2R)▽高速過渡分光による有機太陽電池における電荷生成ダイナミクス計測:電荷生成から電荷収集まで(産業技術総合研究所計測フロンティア研究部門とASTAR物質材料工学研究所(IMRE)――の3プロジェクト。
同担当者によると、現在2回目の募集に向けて研究課題となる領域を含めシンガポール側と協議中という。課題は「物理科学の機能的応用」を前提として、3回とも異なるテーマとなる予定。
JSTは昨年9月、中部ブオナビスタのバイオ開発施設「バイオポリス」内にシンガポール事務所を開設。二国間の研究交流や域内の科学技術情報の収集・発信などを行っている。