オーストラリア 2010年3月11日(木曜日)
「政策に柔軟性必要」RBA理事が提言[経済]
豪連邦準備銀(RBA)のローウィー総裁補佐(経済担当)は10日、豪都市計画研究所(UDIA)主催の会合で講演し、住宅価格高騰や熟練技術者不足の解消を目指すためには、連邦・各州政府が柔軟な政策を打ち出すことが不可欠との認識を示した。地元各紙(電子版)が伝えた。日系企業にとっても、豪州経済が安定した成長を維持するかどうかを見極めるため、今後の政策を注視する必要が出てきたと指摘する声もある。
ローウィー総裁補佐はシドニーで開かれた同会合で、「将来に向けたいくつかの課題」と銘打った講演を行った。
同総裁補佐は豪州経済が堅調だとしつつも、インフレ率を高騰させないため、生産能力を拡充するような政策が連邦・各州政府に求められると指摘。人口増加がこのまま続き、必要な数の住戸の建設も追いつかない場合には、住宅価格がさらに押し上げられると述べた。
主にアジア向けの資源輸出は上昇を続け、大がかりな設備投資の努力は間もなく結実するとコメント。ただ、金融危機のような事態が先進国で再び発生した際には、旺盛なアジア需要が鈍化する恐れはあると警鐘を鳴らした。
また、国際通貨基金(IMF)が先ごろ、各国中央銀行のインフレ率目標を高めに設定するよう提言したことを疑問視。「高いインフレ率は、政策決定をゆがめ、貯蓄意欲をそぐことは歴史が証明してきた。供給面の拡充にも何の効果もなく、恒常的に高金利をまねくだけ」と批判している。
三井住友銀行の林克彦・為替資金課長(オーストラリア)はNNAの取材に対し、「今後労働力をどうやって増やすか」ということが豪州にとっての課題になると述べた。
同氏は、労働力が増えれば、住宅建設の能力も上がるとコメント。ほかに連邦・各州政府に必要とされる政策は数少ない都市部のみに産業が集中しないように地方部を活性化させることだろうと語った。
さらに世界経済が米国主導から中国・インドといった新興国にシフトしていき、金融中心からモノ中心に移る中、豪州は恩恵を受けてきたとはいえ、今後も成長が続くかどうかが問題と発言。「余剰生産能力が低いと、労働コストが高くなり、いずれインフレ上昇を招く。そうなると、金利も高くなるという悪循環に陥り、コストのかかる豪州から投資が逃げる可能性もある」としている。
豪州にとっては、こうした世界経済の変動が新たな形に整ってきた時、恩恵を受ける側に残れるようにすることが必要になってくるという。林氏は、ほかの資源国には現在さまざまなカントリーリスクがあるために投資をためらう企業もあったが、こうした障害が取り除かれたときに、果たして豪州への投資が残るかどうかは確実ではないと分析した。
日本企業については、「実際に資源分野などの産出物を必要としている企業はともかく、金融市場の代用として資源やインフラなどに投資している場合には、コスト高を解消するような政策を打つかどうかに目を向けるとともに、そうした動きに伴う海外企業による豪州投資の動向などを注視する必要が出てくるだろう」と述べている。
■住宅価格上昇続くと警告
地元紙はローウィー総裁補佐の発言について、住宅価格に関する部分に注目している。
同総裁補佐は、「人口増にもかかわらず住宅数の伸びが平均以下であることを考えると、住宅価格の高騰は当然。成人の若年層が親との同居期間を延長する傾向が高まっているのも、こうした影響の分かりやすい例だ」と主張した。高年齢層が住宅ローンで自宅を改修した上で売りに出していることが、価格上昇に拍車をかけていると述べた。
住宅価格は昨年13.6%上昇した。RBAが昨年12月に発表したデータによると、35歳以下の住宅購入者は過去15年連続で減少しているという。
同総裁補佐はまた、住宅増加を目指すために計画の設定やインフラ整備が重要となるが、資源分野も好調のために建設業と鉱業で熟練技術者の奪い合いになる可能性にも言及。両業界の人材不足に対処することも課題の1つと語った。