シンガポール 2010年3月11日(木曜日)
シスメックス、東部に新オフィス開設[医薬]
臨床検査システム開発・製造大手シスメックス(兵庫・神戸)のアジア太平洋地域統括拠点であるシスメックス・アジア・パシフィックは、東部タンピネスにオフィスを増設する。北部ウッドランズにある事務所兼工場のうちオフィス部分を移管。域内の売り上げが2けた成長を継続していることから、販売及びアフターサービス機能を強化し拡大するニーズに対応する。
シスメックス・アジアの松野潔高最高執行責任者(COO)は、NNAの取材に対し「現在東部のオフィスビル、タンピネス・グランデにある新オフィスへの移管作業を進めており、4月下旬に正式開所式を行う。ウッドランズにいる人員計63人(日本人2人含む)のうち工場要員を除く55人が新オフィスに移る」と話した。
同社はアジア太平洋38カ国をカバーしており、販売・マーケティング、アフターサービス事業を統括するほか、検査機器で使用する診断薬の製造、販売代理店研修を行っている。今回は診断薬製造事業を除く全機能を新オフィスに移転する。主力の血液検査機器、血液凝固検査用装置、尿沈査装置をはじめとする販売製品の売り上げは、域内全体で昨年20%、今年も20%の伸びが見込まれる。このためオフィス移転で需要拡大に対応できる体制を整える。
オフィス面積はタンピネスが1万8,000平方フィート(約1,680平方メートル)で、ウッドランズをわずかに上回る。当面人員数は変わらないが、将来は増員も計画している。ウッドランズの事務所部分は移転後、倉庫として利用する。12年前の同社設立の際は、製造事業も手掛けるため工場地帯であるウッドランズを開設地に選んだ。だが代理店研修などで海外から訪問客がある場合空港から遠いことから、交通に便利なタンピネスを選んだこともオフィス移転の背景にある。
血液検査機器などの主要3製品はいずれも世界トップシェアを誇る。売上比率が最も大きい同機器は大型から小型まであらゆるニーズに対応。東南アジアでは小型が主流だが、検体の搬送から血球分析・標本作製までを完全自動化し世界最速の分析速度を誇る「HSTシリーズ」の販売が過去1年で伸びている。医療業界でこうした最新機器が使われる際は通常、まず大手病院が導入しその効果が実証されれば中小規模の医療機関にも利用が波及していく。「当社の製品は故障頻度が非常に低く信頼性が高いことから、最新機器を含め今後さらなる販売増が見込まれる」(同氏)という。
このほか新たな主力製品として注目しているのが、乳がんの転移の有無を手術中に迅速に検査できる新製品「RD―100i」。すでに日本、欧州では発売されているが、域内ではシンガポールの国立大学病院(NUH)とオーストラリアの病院で試験評価を行っており、今後の販売に期待がかかる。世界で同様の製品を開発したのはシスメックスが初めて。
アジア太平洋地域の昨年の売り上げは54億円。今年は59億円、2012年には71億円に達すると見込んでいる。