香港  2010年3月12日(金曜日)
海外100店体制めざす、香港発の日本食「えん」[商業]

香港、シンガポールを中心に日本料理店「えん」などを運営する「えんグループ」が、今後5年内に100店舗体制の構築を目指している。同社の又吉真由美社長がNNAの取材に対し明らかにした。新たに進出した市場やフランチャイズ事業も好調なことから、積極的に投資を加速する。【香港華南編集部・岩田圭祐】



現在の19店舗から、2015年までに100店舗に拡大する計画。香港で現在の7店舗から20店舗まで、シンガポールで7店舗から16店舗までそれぞれ増やす。また、中国本土を中期的な成長市場とみており、5年内に31店舗までネットワークを拡大する計画だ。本土では現在、上海に1店舗を構えるのみだが、華南地区での拠点構築も進める。また新たにタイ、豪州、ハワイなどにも進出する方針で、一部都市ではすでに物件探しに入っている段階という。

えんグループは又吉社長と香港人パートナーらの共同経営で、香港に拠点を置く。00年にシンガポールに1号店をオープン。翌年に香港1号店を開設し、以来ジャカルタ、那覇、マカオ、上海に店舗網を拡大している。

又吉社長の出身である沖縄をコンセプトにしたダイニングバーを中心に、本格しゃぶしゃぶやグリルレストランなどを展開。09年には日本のカレー屋チェーン「ゴーゴーカレー」と提携し、シンガポール2店舗のフランチャイズ経営も開始した。また、日本の餃子チェーン大手と技術提携してショッピングセンターのフードコートに出店するなど事業形態を広げている。

■バックヤード整備急ぐ

店舗網の拡大に合わせ、周辺事業でも体制強化を急ぐ。

沖縄では、海外出荷製品の保税での調達・加工が可能な「沖縄自由貿易地域那覇地区(フリートレードゾーン)」内に先月、拠点を設けた。まずは餃子やカレーなどの生産からスタート。将来的には海外各店舗で手掛ける仕込みや加工食品作りなどの作業を集約し、セントラルキッチン化を目指す。

沖縄生産拠点から東アジアを中心に広がる各店舗への輸送には、全日空(ANA)が昨年10月にスタートした那覇空港貨物ハブ構想が大きく貢献すると期待している。同サービスを利用すれば、沖縄でオフィス時間に生産・調達した食材を深夜便で空輸し、アジアの主要都市で翌日に提供することが可能になる。

このほか、05年には物流会社「セントラル貿易」を香港に設立して、沖縄食材の調達・輸送を手掛けている。取り扱いはグループ傘下店舗で利用する食材が中心だが、外部への卸売りも一部実績がある。

海外での日本食ビジネスの可能性について、又吉社長は「アジアは日本から距離も近く、すごく日本食を受け入れてもらえる地域」と期待を示す。日本の食材輸出先として2年連続首位の香港では、日本食品の売り込みや飲食店の過当競争なども一部で指摘されるが、「郷土料理店なども増え日本食の多様化が進んでいるが、沖縄料理は特に中国文化の影響も多く入っており、馴染みやすいものが多いのだろう」と急成長の背景を分析している。<香港>

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