香港 2010年3月19日(金曜日)
《労使》最低賃金2割引き上げ、労働力不足の広東省[労働]
広東省政府は18日、最低賃金基準を5月1日から約2割引き上げると発表した。広州市では月額860人民元(約1万1,400円)から1,030元に跳ね上がり、全国でも最高水準となる。大幅な改定で省内賃金の底上げを誘導し、深刻化するワーカー不足の緩和につなげたい狙い。一方、企業にとっては労務コストがかさむことで、回復基調にある経営が圧迫されることにもなりかねない。

同省は各都市を経済力に応じて1〜5類に分けて最低賃金基準を設定している。最上位に位置する省都広州は19.8%引き上げ、初めて1,000元を突破した。
日系製造業が多い東莞、珠海などの2類都市は上げ幅19.5%。最低賃金でワーカーを雇用している企業にとっては、1人当たり月額150元の負担増となる。
3類以下の都市はいずれも上げ幅が20%を超え、特に4類は22.4%、5類は24.5%の大幅な調整となった。低付加価値産業の内陸移転を奨励している同省だが、一方では内陸部と珠江デルタ地域との社会格差を縮小しなければならない事情がうかがえる。
1〜5類の平均上げ幅は21.1%。昨年は金融危機の影響で最低賃金を据え置いており、2008年4月以来の引き上げとなることから、2年分を一気に調整した形といえる。各市は地域の事情に応じてさらに高い最低賃金基準を設定することもできる。
同省人力資源・社会保障庁は「広東労働市場の吸引力を高め、省外からの出稼ぎ労働者を呼び戻し、一部企業の求人難を緩和する助けになる」と説明した。
深刻化するワーカー不足の背景には、長江デルタをはじめ他地域の所得水準が上がり、広東で働く「うまみ」が減っていることがかねて指摘されている。改定後の1類最低賃金は、上海市(960元)、江蘇省(960元)、浙江省(960元)、北京市(800元)などライバル地域を上回り、全国最高水準となる。
ただ、上海、浙江は4月から15%、北京も早ければ4月から10%前後の引き上げを予定しており、広東のアドバンテージにはならないとの指摘もある。
■日系「相当な負担増」
従業員1万人以上を抱える広州の日系電子機器メーカーは「賃金を1人1元引き上げるだけでも1万元のコストアップ。(2割は)相当な負担増だ」と悲鳴を上げる。それでも足並みを揃えて賃金を引き上げなければワーカーを確保できないため、受け入れざるを得ない状況という。
外資企業向けコンサルティング業務を行っている東莞市華世企業諮詢の伊東敬徳・総経理は「当初は東莞も1,000元近くに引き上げられるとの予想があった。920元にとどまったのは、急激な引き上げは企業側からの理解を得られないと判断してのことだろう」と指摘。「トータルコストが上昇する分をどこかで削減する努力が必要になってくる」と述べた。
■深センは独自基準
深セン市は独自に最低賃金を設定する権限を持つことから、今回の改定では対象外。ただ、同市も近く追随することは確実視されており、現行(特区内1,000元、特区外900元)から10%以上の引き上げが予想される。<広東>