シンガポール  2010年3月31日(水曜日)
伊藤忠、都心ビルをテマセク系に売却[建設]

シンガポール企業による日本国内の不動産物件への投資が加速している。伊藤忠商事はこのほど、子会社の伊藤忠都市開発と共同で開発した東京・江東区のオフィスビルを政府系不動産業者メイプルツリー・インベストメンツに売却したと発表。メイプルツリーは伊藤忠と提携関係を深めており、同社から初めてオフィスビルを取得する本契約を通じて、さらに優良な日本物件の獲得に弾みをつけたい考えだ。

取得物件名はIXINAL(イクシナル)門前仲町。伊藤忠商事の広報担当者は30日、NNAの取材に対し「当社開発のオフィスビルをメイプルツリーが買収するのは初めて。同社とは2005年から提携関係にあり、物流施設の共同投資ファンドも設立している。こうした関係が今回の契約へとつながった」と説明した。売却価格については、契約上の規定により公表していないという。

同物件は昨年9月に完工した。敷地面積は2,787.72平方メートル。地上5階建てで、事務所・店舗を主な用途としている。環境に配慮した作りになっており、複層ガラスによる高断熱・高遮熱を実現しているほか、自然換気装置の設置による自然エネルギーの利用、屋上緑化を実施。国土交通省主導で設置した公式認証の建設環境総合性能評価システム(CASBEE)ではランクAを取得している。

メイプルツリーのプア・コックキム最高経営責任者(CEO)は今回の買収について「江東区の物件は都内でも地価が低い上、都心、成田・羽田の両空港への交通の便も優れている。日本の優良企業が本社を構えるのに最も注目されている場所だ」と語った。

メイプルツリーは政府系投資会社テマセク・ホールディングス全額出資子会社。05年には伊藤忠と物流施設の買収、施設開発、不動産ファンドの3分野で業務提携すると発表しており、昨年には提携関係を強化する覚書(MOU)を締結。合意に基づき今年1月、日本国内の物流施設の開発・保有を目的とした共同投資ファンドを設立した。

このほか、工業不動産を中核資産とする不動産投資信託(REIT)のメイプルツリー・ロジスティクス・トラスト(MLT)は昨年末、千葉県にある倉庫物件を6,800万Sドルで取得。日本の大企業に貸し出し、利回りがほかの日本の物件(4.5%)を上回る7.26%になると想定している。

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