タイ 2010年6月16日(水曜日)
キリン、検査機を一括受注:酒造タイビバと初契約[製造]
検査機の開発・製造を手掛けるキリンテクノシステム(神奈川県川崎市)は、タイの酒造最大手タイ・ビバレッジ(THBEV)から空きびん検査機23台を受注し、15日に契約を交わした。両社の契約は初めて。契約額は数億円規模という。キリンテクノシステムはこれまで約3,000台の検査機を日本内外で納入しているが、これほど大量の一括受注は初。今後、タイをはじめ東南アジアでの販売を一層拡大したい考えだ。【吉岡由夏】
空きびん検査機は、回収し洗浄された空きびんの内部に汚れや欠けたところがないか検査する装置で、目視検査に比べはるかに精度が高く、処理量が大きい。タイ・ビバレッジのタイ国内の蒸留酒工場16カ所に導入される。検査機は毎分1,000本の処理能力があるが、これらの工場では同600本の速度で使用する予定という。
検査機の納入はキリンテクノシステム、機械周辺のコンベヤの設計はキリンエンジニアリング台北支店、アフターサービスを含めた現地サービスは機械専門商社アルテック(東京・新宿)のタイ法人アルテック・アジア・パシフィックが担当する。
タイ・ビバレッジのサワット上級副社長によると、ビール工場にはすでに空きびん検査機を導入しているが、蒸留酒工場は今回が初めて。これまでは欧州企業の機械を導入していたが、「精度の高さではキリンが優れていると判断した」と発注の理由を語った。
キリンテクノシステムの三輪保生社長は「東南アジアでの販売拡大に向けて動いており、その成果が出たことはうれしい」と述べた。今回の大型受注を次の商機につなげていきたい考えだ。
同社はキリンビールの完全子会社。びん、缶、ペットボトルなど飲料容器のほか、医療容器、自動車部品の自動検査機など幅広く手掛ける。日本国内の飲料容器検査機では圧倒的なシェアを誇り、今後はアジア・オセアニアを中心に海外事業を伸ばしていく計画だ。
キリングループは、フィリピンのビール大手サンミゲルビールを通じて、中国本土、香港、インドネシア、ベトナム、タイに計6カ所のビール工場を展開するほか、豪州ビール業界2位のライオン・ネーサンを傘下に置く。タイ・ビバレッジとの資本関係はない。
■タイビバ、日本を視野に
タイ・ビバレッジは蒸留酒、ビール、スポーツ飲料などのノンアルコール飲料など幅広く手掛ける酒造最大手。蒸留酒の昨年の販売量は4億8,700万リットルで、市場シェアは74%を誇る。タイ全土18カ所に工場があり、年間8億1,900万リットルの生産能力があるほか、中国、スコットランドにも工場を持つ。
「ビア・チャーン(ゾウ・ビール)」で知られるビール部門は国内3カ所に工場があり、年間生産能力は15億5,000万リットル。昨年の販売量は5億7,100万リットルで、市場シェアは39%という。
同社製品は欧州、豪州、米国でも販売しているが、海外の売上高は全体の3%にとどまっている。サワット上級副社長は「日本は規制が厳しく、わが社の製品の輸出量はまだわずかだが、今後拡大していきたい」と述べた。キリングループとの関係については「今後、OEM(相手先ブランドによる生産)などの可能性も含め、より近い関係を築いていきたい」と前向きな姿勢を見せた。