フィリピン 2010年7月21日(水曜日)
ジプニーの電動化を推進へ:日系NGOのエコス[車両]
環境保護活動を展開する日系の非政府組織(NGO)エコス環境財団は、ディーゼルエンジンを搭載したジプニー(フィリピン式乗り合いタクシー)の電動化を推進する。このほどトヨタ製トラックをベースにした試作車を完成。近日中に、高級住宅地として知られるマニラ首都圏マカティ市のバランガイ(最小行政単位)フォーブスパークの管理事務所に納入する予定で、同バランガイに出勤するメードらの移動手段として利用される見通し。エコスは、同バランガイでの運行試験を経て、商業運行するジプニーの電動化事業に来年をめどに着手する考えだ。
エコスの田島修一事務局長は、NNAの取材に対し、「旧型のジプニーの中には、ディーゼルエンジンの排ガス規制基準となる粒子状物質(PM)の値が、上限の2.5を大きく上回る4〜6に達しているものがある」と指摘。排ガスを出さない電気自動車への転換により、環境面で大幅な改善が見込めると説明した。その上で、「ディーゼルエンジンを搭載した既存のジプニーの月当たりの平均燃料代が1万7,000〜1万8,000ペソ程度なのに対し、電気ジプニーは月間の電気料金が3,000ペソ程度」と、運行コスト面の優位性を強調している。
動力源は一般的に使用される鉛バッテリーを使用。12ボルトのバッテリーを20個搭載している。田島事務局長は、「ジプニーに使用した場合、通常の鉛バッテリーは1年程度しかもたない」とした上で、バッテリー寿命を延ばすため、エコスと提携する日系企業が開発した技術を採用したと説明。この技術は、イオン交換を妨げるサルフェーション(白色硫酸鉛化)を電子制御で防ぐもので、寿命は約5年間に延びるという。
エコスが普及を進める電動システムは、8時間の充電で100キロメートルの走行が可能。田島事務局長は「マニラ首都圏を運行しているジプニーの1日の走行距離は平均70キロ程度で、商業運行に十分耐えられるレベル」と指摘。また、最高時速は80キロで、坂道でも問題なく走行できるとしている。
■転換費は25万〜35万ペソ
ディーゼルエンジンから電動モーターへの転換費用は1台25万〜35万ペソ。田島事務局長は、政府の補助金に頼らず民間ベースで転換事業を展開したい考えで、「民間の金融機関からの融資があれば、例えば1カ月1万ペソの支払いでも2年程度で完済でき、その間も燃料費削減による収入増が見込める」と強調。ジプニー事業者にこうした利点をアピールし、普及を促していく方針を示した。
フォーブスパークでの運行試験は、来月にも開始される見通し。エコスは2008年、同バランガイに液化石油ガス(LPG)仕様のジプニーを納入した実績を持ち、現在はバランガイ内の管理サービスに使用されている。
エコスは、同バランガイでの運行試験を経て、来年をめどに商業運行しているジプニーの電動化事業を開始したい考え。当面は技術面の向上を図るとともに、陸運局(LTO)の認可など法令面の折衝などに取り組むという。
エコスはこれまで、LPG仕様のジプニーの普及に努めてきた経緯がある。田島事務局長は、電気自動車の技術が発達してきた点やLPGとディーゼル燃料(軽油)の価格差が縮まってきたことが、電動化への方針転換の一因としている。