インド  2010年7月30日(金曜日)
「緊密化する日印の関係」:都内で印ビジネス研修講座[経済]

インドの市場調査などを手掛けるサンアンドサンズアドバイザーズ(SSA)は27日、東京都内で、インド進出を検討する企業向けの連続講座「丸の内インドビジネス研修講座」の第4回を開催した。同講座は半年間、全13回にわたって各界の講師を招き、インドビジネスに関する総合的な理解を深めることを目的としている。今回は「緊密化する日本とインドの関係」と題し、外務省南部アジア部の猪俣弘司部長と日本経済研究センターの山田剛研究本部主任研究員が講演した。

猪俣氏は、国際社会で存在感を増すインドの政治情勢や経済情勢について分析。シン首相が2004年以来2期にわたって政権を担当している上、現在は国会で安定多数の議席を維持していることから、「安定的かつ強力な政権運営の継続が可能」と指摘した。このため外交面では主要国をはじめ多くの国との関係を積極的に強化する方針が今後も維持されるとの見通しを示した。

「大国であるインドが安定することで、周辺地域も安定している」と指摘し、日本にとってもシーレーンの安定が確保されるなどのメリットがあるとした。

■強化される日印関係

日印関係は、1952年の国交樹立以来、インドによる2度の核実験(74年と98年)後の一時期を除けばおおむね良好だ。特に日本の円借款第1号の対象はインドで、2003年以降は最大の円借款受け取り国になっている。91年には経済危機に瀕した同国に日本は緊急借款を実施した。当時財務相だったシン首相はこのことを忘れておらず、「一番苦しい時期に日本に助けられた」と、現在に至るまで繰り返し感謝の意を表明しているという。

2006年にシン首相が来日した際、両国首脳が毎年お互いの国を訪問する内容の文書が交わされた。猪俣氏は「首脳の相互訪問が文書化されているのはインドだけ」とし、両国が安定的な関係を築いていることを強調した。

近年、日本にとってインドは戦略的に重要なパートナーとなっており、その一つの表れが08年の日印安全保障共同宣言だという。日本がインド以外で安保共同宣言を行っているのは、米国とオーストラリアだけだ。

経済関係については、07年1月から経済連携協定(EPA)交渉を行っている。シン首相は今年の首脳会議で大枠を決定したい意向だ。

一方、草の根レベルでは、政府同士の良好な関係に比べて関係構築が進んでいないのが現状だ。1年間の人の往来数(07年)は約21万人と中国の23分の1で、在留法人数(08年)は中国の38分の1、航空便の数(09年9月)も30分の1にすぎない。

■自動車大手が輸出拡大

山田氏は「多様化・深化する日本企業のインドビジネス」と題して講演。インド北部だけでなく、西部や南部でも日系企業の拠点が大幅に増えている点を指摘した。進出企業が拡大しているほか、インドには人口100万人以上の都市が80もあるため、全国に拠点を置かざるを得ないという。

日本企業から見たインド進出の問題点としては「法制度の未整備」「税務上のリスク」「労務上のリスク」などを指摘する声が多いが、いずれも中国よりリスクや問題は少ないとみられている。

対インドの直接投資額で、日本はシンガポールや米国などに次いで世界でも上位に入っている。セクター別ではサービスや建設向けなどが多いが、自動車など製造業向けは意外に少なく、これから拡大する余地が大きい。

自動車業界で日系企業の目立った動きとしては、商用車市場への参入が活発化していることが挙げられる。インドでは乗用車に比べて新型のバスやトラックの普及は大幅に遅れており、エアコンを装備していないものも多い。それだけに、今後に大きな需要が見込めると山田氏は指摘した。

国内2大メーカーのマルチ・スズキとヒュンダイ・モーター・インディア(HMIL)が、輸出を強化しているのも顕著な傾向だ。HMILは2009/10年度(09年4月〜10年3月)の販売台数のうち、約半分を中東やアフリカ、欧州への輸出が占めた。マルチ・スズキも急速に輸出を拡大させている。自動車各社は相次いで増産計画を発表しており、インドが各社の生産・輸出拠点に育っていく可能性もある。インドは世界7位の自動車大国となったが、山田氏は「市場は現在も急拡大しており、さらに上位に食い込む」との見通しを示した。

第5回の講座は8月10日に「進出形態で考える地域別ビジネス情報」と題して実施される予定。以降の日程などはインドビジネス研修講座事務局(担当:大西氏/電話番号03-3287-7360)に問い合わせのこと。講座のウェブサイトはhttp://www.sunandsands.com/ils。

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