フィリピン 2010年8月10日(火曜日)
投資優遇、来年は縮小の方向:背景に財政難[経済]
政府は財政難を背景に、2011年版の投資優先計画(IPP)では、投資誘致に当たっての優遇を現行の10年版より縮小する意向だ。また、IPPで既に優遇対象となっている案件についても、条件を満たせない場合は優遇取り消しなどの措置を講ずる考え。9日付ビジネスミラーなどが伝えた。
IPPの優遇縮小と厳格化は、ドミンゴ貿易産業相らが8日までに明らかにしたもの。ドミンゴ氏は、「認可を厳しくしていくのが現在の流れだ。われわれの資源は限られている。このため、優遇は『節約』して使わなければならない」と述べた。赤字が本年度上半期(1〜6月)で1,967億ペソに達した厳しい財政状態では、税収減につながる税制優遇の付与も、従来より慎重にならざるを得ないことを示したとみられる。
こうした状況の下、ドミンゴ氏は、アキノ政権が策定する初めてのIPPとなる11年版IPPでは、「実際に対比投資を決断した企業だけに、優遇を付与することになるだろう」と明らかにした。政府として、投資を誘致したい分野に確実に投資する企業に絞って、優遇を付与したい考えとみられる。
■「財務省から圧力必至」
パンリリオ投資委員会(BOI)専務理事(貿易産業次官)はこれに関連して、「11年版IPPは10年版と比べ、優遇対象の分野を減らすか、または対象分野は同じにして優遇の程度を縮小するかのいずれかを迫られる」との見通しを示した。最低投資額など、優遇獲得に必要なハードルも現行より引き上げざるを得ないとみている。歳入増と財政改善を目指すプリシマ財務相率いる財務省から、投資誘致に向けた優遇の実施について、より厳格な対処を求められるのは必至との予測が背景だ。
またドミンゴ氏の説明では、厳しくなりそうなのは新規の優遇獲得だけではない。BOIは、IPPによる優遇を受けている企業が優遇に当たっての条件や目標を達成できなかった場合、優遇を取り消すほか、制裁も計画している。IPP登録企業に義務の完全な履行を求める方針に沿ったものという。
5月に発効した10年版IPPは、◆農水産業◆インフラ◆製造業◆ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)――といった継続7分野、◆環境関連◆防災・災害被害軽減・復旧復興◆2009年観光法(共和国法第9593号)関連プロジェクト――といった新規追加分野、また雇用維持・創出事業を優先分野に指定。分野その他の条件に応じて、最長8年の法人所得税免除、設備輸入の関税免除、人材開発費の税額控除などといった優遇を定めている。