ベトナム・インドシナ 2010年8月13日(金曜日)
メコン回廊セミナー、東京で:ソフト整備が課題[運輸]
インドシナ半島の陸路輸送網の現状と課題を紹介するセミナーが11日、東京都内の日本アセアンセンターで開催された。三井物産の担当者がバンコク〜カンボジア〜ホーチミンの「南部経済回廊」(第2東西回廊)を、山九の担当者がバンコク〜ラオス〜ハノイとバンコク〜ミャンマーの「東西経済回廊」を、それぞれトライアル輸送の結果などをもとに報告。道路整備が進み、時間の短縮が期待できるとしつつ、足並みがまだ揃わない電子通関への対応や、ベトナムからの帰り荷がない「片荷」などの課題も示された。
お盆休みの時期にもかかわらず、セミナーには定員を大幅に超える180人が参加。ハード、ソフトの両面で日本が積極的に関与しているインドシナの物流網整備への関心の高さを見せつけた。
■バンコク越南部、最速16時間
三井物産物流本部の松島秀明氏は、昨年10月に日本貿易振興機構(ジェトロ)と行ったバンコクからカンボジアを経由してホーチミンへ走行する実証実験事業の結果を紹介。2012年に域内での通関手続き一本化を目指す「アセアン・シングル・ウインドウ」(ASW)の効果を検証したり、貨物振動を確認するのが目的で、実際に大手家電メーカーの荷物を運び、タイ、ベトナム国境では税関職員を前に電子通関・貨物自動認証のデモンストレーションを実施、その反応を見るなどした。
ホーチミンまで要した時間は29.5時間(1.5日)。ベトナムでは通関に時間を要し、ホーチミン市内に入ると渋滞に巻き込まれたものの、関係者の反応は「非常に早い」だったという。その上で◇貿易手続き円滑化が実現◇各国税関の開庁時間などの制約を受けない――などを前提に、将来的には最速で16時間になると試算、海上輸送の6〜7日から大幅に短縮されると強調した。
■ミャンマー向け「大きな事業に」
山九ロジスティック・ソリューション事業本部の福田規保氏は、限定的ながらも輸送業務が始まっているバンコクからラオス・サワンナケートを経てハノイに至る東西回廊に加え、西へのルートとなるバンコクからメヤワディーを経てヤンゴンへ向かうトライアル輸送の状況を説明した。
政治的に微妙なカレン州を通過し、道幅の狭い山岳道路では上りと下りで日替わり通行制になるなど困難は多いが、福田氏は「それなりの荷物量が出ることもあるので、いずれ大きな事業になる可能性はある」と強調。陸路開拓を図るのは、海上輸送運賃の上昇も背景にある。帰り荷についても、ミャンマーで増えている縫製加工業などの需要が見込めるのではないかと話した。
■越からの片荷がネックに
タイからベトナムへのルートはビエンチャン経由でベトナムへの最短距離となる国道8号線もあるが、福田氏によると「検討はしたが、山が多いため断念した」。一方、タイ東北部・ラオスで工事中の第3メコン国際橋が完成すれば、これを利用した新たなルートが開拓できると見込んでいる。
ハード面や時間短縮という面では今後大きな改善が期待される東西、南部の両回廊だが、もちろん課題も多い。共通するのが、ベトナム側からの帰り荷が少ないこと。空荷で戻ってくると「その分も含めての運賃となってしまう」(福田氏)。このあたりは自由貿易協定(FTA)効果などによる貿易量増加などに期待したいという。
■シングル・ウインドウ、12年は無理か
ASWについても、各国のナショナル・シングル・ウインドウ(NSW)を比較するとタイだけが先行している形。目標とする2012年に「実現する可能性は低い」(松島氏)のが現状だ。
運賃差の縮小も課題だ。現在は海上の2倍で、山九の福田氏は「タイ・マレーシア間が海運から陸運へ切り替わった前例に従えば、1.3倍ぐらいまで抑えるのが目安ではないか」と率直に話す。
参加者からも「ラオス、カンボジアの道ともに街灯がないので、夜間走行ができない」「ラオスでは鉱物を運ぶトラックの過積載の問題があり、道の傷みが激しくなっている」といった声が寄せられた。