オーストラリア 2010年8月16日(月曜日)
豪州でも生産量低迷か:世界的な小麦供給不足も[農水]
世界的な小麦の供給不足によって価格が上昇し、豪州が大きな恩恵を受けるとの見方が広がっていたが、楽観視はできないようだ。豪州では気象状況悪化やバッタ被害が予測されており、豪州産小麦の生産にも陰りが見え始めているからだ。穀物の値上がりは、結果としてパンなどの食品価格に転嫁されるため、今後の値動きには注目していく必要がありそうだ。
国連食糧農業機関(FAO)によると、今年の世界的な小麦輸出量は約1億2,200万トンにとどまる見通し。豪州は、豊作時に年間約1,500万トンの小麦を輸出しているため、今年が豊作に恵まれれば、世界輸出量の10%以上を担うことができると期待されていた。
ただ、今年は豪州の小麦生産見通しにも暗雲が立ち込めている。全国の小麦生産の約4割、輸出量の5割以上を担っている西オーストラリア(WA)州で気象悪化が見られるからだ。農業金融機関ラボバンクではWA州の生産予測を前回の825万トンから650万トンにまで引き下げている。
また、豪州南西部では1〜7月までに、1900年以来3番目の乾燥状態を記録しているほか、東部州ではバッタ被害が予測されている。豪州の生産量が大幅に減少した場合、世界市場ではさらに価格が上昇する可能性も指摘されている。
■世界市場では価格急騰
世界各国の現状をみると、干ばつの影響でロシアでは輸出を一時禁止する措置をとった。このほか、カザフスタンやウクライナ、ドイツ、英国などの欧州諸国でも生産量低下が問題視されているという。
各国での生産量低下を受け、小麦価格は一時急騰した。シカゴ商品取引所(CBOT)の9月物の小麦先物価格は先々週、1ブッシェル当たり8.41米ドル(9.28豪ドル)に達した。その後、在庫が安定しているとの見方から落ち着きを見せ、7米ドル強まで低下したものの、6月初旬に比べると約60%跳ね上がっている状況だ。
■相次ぐ値上げも
豪州では小麦以外の穀物の値上がりも予測されている。小麦価格が60%上昇と最も大きいものの、大麦やトウモロコシも20%値上がる見通しが示されている。また、飼料価格の値上がりにより、卵価格は1ダース当たり40〜50豪セント上昇する見込みだという。
飼料会社リドリー・コーポレーションのマレー最高経営責任者(CEO)は、「価格上昇が食品価格に直接影響を与えるわけではない」としたものの、「9月、10月以降、食品価格が若干値上がりする可能性はある」との見方を示した。
シティバンクのアナリストであるルービン氏は、「世界的な食品価格が、4〜6月期には一時下がったものの、今期は再び上昇している」と述べている。小麦や大麦など穀物価格の急騰は、食品価格上昇にもつながる。このところ消費者物価指数(CPI)が安定している豪州だが、今後の状況によっては大きな影響が出る可能性もありそうだ。