ベトナム・インドシナ 2010年8月16日(月曜日)
汚染ベダン、きょうにも解決か:農民との補償合意へ[経済]
チバイ川に長期間未処理排水を垂れ流した台湾系うま味調味料製造業、ベダン(味丹)・ベトナムは13日、南部バリアブンタウ省とホーチミン市カンゾー郡の農民と補償(示談金)の合意書を交わした。きょう16日にもドンナイ省の農民と補償の合意を交わせば、発覚後2年がたった汚水垂れ流し事件での製品のボイコット運動と法廷での争いを避けられる見通し。ただ、同省の農家には合意に反対する声も根強い。ベトナム・ニュース(VNS)やベトナムネットが報じた。
べダンは13日午前、南部バリアブンタウ省の被害農家1,255世帯に対して合計536億ドン(約280万米ドル)の補償を支払うことを盛り込んだ合意書に調印した。1世帯当たり2,000米ドル強の計算だ。
同日午後にはホーチミン市カンゾー郡の被害農民に対して、457億4,800万ドンの合意書に調印した。最後のドンナイ省の農家に対しては11日に1,195億ドンを支払うことで合意しており、きょう16日に最終的に合意調印する見込みだが、金額が少ないとして農民側からは反対意見もある。ただ、9日時点でベダンはドンナイ省の農民に対する補償は700億ドンと発表していたが、11日には7割増の1,195億ドンと発表した。
ベダンはまた、バリアブンタウ省人民委員会に対し、省内の被害額を算出するのにかかったコストとして計5億ドン(約2万6,300米ドル)を支払うことでも合意した。
ベダンは14日から1週間以内に補償額の半分を農民に支払う予定。残り半分はバンコク銀行ホーチミン支店の保証を受けた上で、来年1月14日までに支払うことになっている。
ベトナムネットの報道によれば、べダンはこれまでに、政府に対して1,270億ドン(当時のレートで714万米ドル)の環境再生費と2億6,735万ドン(同1万5,000米ドル)の罰金を支払ったとされる。農民への補償が残されていたが、どう査定するかで問題となっていた。
■ドンナイ農家は不服
ドンナイ省の農民は、「補償額は被害状況の改善には不十分」とし、さらに金額を上乗せするよう求めている。
350の農家が被害を受けたドンナイ省ロントー地区では、ベダンが同省全体の農家に提示している補償額1,195億ドンは、被害を受けた農家5,000世帯のうち10分の1しかカバーできないと主張。計3,500億ドンの補償を求める訴訟を起こす考えだ。
同省の農民で、エビの養殖を手掛けるフューさんは1,195億ドンを5,000世帯で分けた場合、各農家の受け取ることができるのは約2,000万ドンと、養殖エビの1度の収穫額にも満たないとする。エビの養殖を手掛ける農家は、年に3回、養殖エビの収穫を迎えるが、これまで14年間にわたり汚染物質が垂れ流されてきたことを考えると、補償額は少なすぎるとしている。
こうした中、別の農民、ラ・バン・ロンさんは自身に対する計3億ドンの補償を求める訴訟を検討中だ。
■2年前に発覚
べダンは1994年に操業開始、14年も汚水を流していた。操業直後から汚水は噂されていたが、公安省環境警察局が資源環境省の協力を得て捜査を進め、5日間近く張り込みを続けたのち、工場から出る1日1,500立方メートル前後の未処理の排水を川に流している現場を押さえたのは08年9月だった。
ベダン工場の排水系統は多数あり、そのうち2系統がチバイ川に直接投棄するためのものだった。排水管は地中に埋められ、水面下約9メートルの深さに放出するよう作られていた。主にうまみ調味料(MSG)製造過程の発酵に伴う有機物系の汚水だったようだ。
関係者からは、「排水処理施設を使用しないのは経費節減が目的だ」と指摘されていた。べダンが処理施設を1日休止させると、1億ドン(6,100米ドル)以上の経費を浮かせることができるとされていた。