ベトナム・インドシナ 2010年8月17日(火曜日)
越海運、日系3社と港湾運営へ:北部ラックフエン港建設で[運輸]
国営のベトナム海運総公社(ビナライン)は、ベトナム北部ハイフォン市カットハイ島沖合のラックフエン港建設・運営計画で、商船三井、日本郵船、伊藤忠商事の3社との合弁会社設立に向けた合意文書を今月中にも交わす予定だ。16日付ベトナム・インベストメント・レビュー(VIR)が報じた。
官民パートナーシップ(PPP)のインフラ事業モデルとして計画は進められている。ビナラインのズオン・チー・ズン社長によると、事業化のネックは資金で、日本政府の資金援助が不可欠。ズン社長は「言われているような年内着工は、円借款の拠出がない限り無理だ」とも語ったという。ベトナム政府の計画では2015年完成を目指す。
港をつなぐ全長6キロの橋りょうや港湾の基礎インフラなどに、円借款を投じる見込み。現在、日本政府内で調整中だ。早ければ今年度前期(4〜9月)分として、建設や詳細設計(DD)に向けた事業費の一部の借款供与調印が行われる見込み。一方、日系3社とビナラインは、300億円と見込まれる港湾ターミナルの建設を負担するようだ。
■事業必要性高い
ベトナム北部の基幹港ハイフォン港は河川港で潮汐の影響を受け、大型船舶の入港や拡張が難しい。それだけに深水港事業の必要性は高い。ラックフエン港が完成すれば、北米大型直航船が就航可能となり、ベトナム北部の投資・操業環境も改善する。
一方で、ターミナル以外のインフラも含め総額1,000億円以上とみられる事業をベトナムで行うリスクもあるだけに、日本で報じられた「日本の民間3社による事業で2015年に運用開始」という訳にはいきそうもない。ベトナムでの事業のため実現にはリスクの精査や立ち退き補償問題、官民の役割分担の明文化や事業進展の調整など課題も尽きない。
経済産業省の08年のプレ事業化調査(FS)やハイフォン市当局によると、2020年までにコンテナ4バースを含む11バースを第1フェーズとして西側(ディンブー寄り)に80ヘクタールを埋め立てて建設、2030年までの第2フェーズは東側(カットバー島寄り)に建設する。建設費は民間が担う港湾の第1フェーズだけで4億米ドル程度となりそうだ。なお、カットハイ島の工業団地開発のFSはすでに提出されたという。
ベルギーのレントAポートも、ラックフエン港で400ヘクタールの用地を開発し、物流拠点を整備する方針。日本が基礎インフラを整備した後の、「果実」を同社が取る狙いもありそうだ。ハイフォン市に対しても積極的にアプローチしている。
■40億ドル赤字の国営造船を一部継承
16日付VNエクスプレスによると、ビナラインは国内銀行・機関投資家向けに1兆ドン(5,200万米ドル)の社債を発行する。船舶購入や同社の事業投資資金に充てる。償還期限は3年間。利回りは14.5%の予定。英スタンダード・チャータード銀行が引き受ける。
乱脈経営や多角化で40億米ドルの債務を抱える国営ベトナム造船グループ(ビナシン)の事業の一部をビナラインは今後引き受けるが、ビナシン事業の資金は別途調達し、今回の社債発行とは関係ないという。
ビナラインがビナシンから事業を引き継ぐのは、ハイハー港湾工業団地(北部クアンニン省)やディンブー港(北部ハイフォン市)、ビナシン遠洋運輸(ビエンズオントランスポート社)などだ。