シンガポール  2010年8月17日(火曜日)
三菱倉庫、日系製薬の治験支援:地場企業の海外拠点活用で[運輸]

三菱倉庫(東京・中央)は、医薬品輸送を手掛けるシンガポール企業と提携し、日本の製薬会社が海外で臨床試験(治験)を実施するための窓口となるサービスを開始した。製薬会社から預かった治験薬をシンガポール企業の海外拠点に運び、現地の医療機関で臨床データを回収して製薬会社に渡す。日本の製薬業界で拡大している海外での治験需要に対応したい考えだ。

三菱倉庫の広報担当者は16日、NNAの取材に対し「日本の医薬品メーカーの国際治験ニーズが高まってきていることがサービス提供の背景にある」と説明した。両社は昨年8月に提携を交わしたという。シンガポールの企業名は公表していない。

三菱倉庫は、海外での臨床試験を希望する製薬会社から治験薬を預かり、シンガポール企業の海外拠点に輸送する。同企業は一定温度で保管できる専用倉庫で薬を保管しながら、現地の医療機関に薬を届ける。同機関で収集した臨床データは製薬会社に引き渡す仕組みだ。三菱倉庫は治験薬の品質、取扱基準を管理する。「シンガポール企業の海外拠点はマレーシアやタイ、韓国、台湾などアジア全域に点在している」(同担当者)という。これまでに製薬2社から韓国での治験を受託している。

■コスト低減へ

治験は新薬の効果や安全性を患者に投与して確かめる試験。製薬会社は臨床試験を行う国・地域を選ぶことができる。日本で症例が集まりにくい試験でも、人種差の比較的少ないアジアで治験を実施することでより多くの症例数を集めることができる。また日本より人件費などが安い域内で行うことで治験コストの低減が図れるメリットもある。

三菱倉庫は治験関連事業の拡大に力を入れており、将来的には売上高を12億円まで引き上げたい考えだ。

同社は今年1月、100%出資子会社のシンガポール三菱倉庫を通じて地場物流会社パイオニア・エクスプレス・インターナショナル(PEI)の全株式を取得し完全子会社化したと発表。PEIは医薬品や精密工具などの航空貨物輸送に強みを持つ。同担当者は「今回の海外治験支援サービスとPEIとは関係ない」としている。昨年8月には中国現地法人を通じて同国の「航空一代ライセンス(一類航空運輸販売代理資格)」を取得しており、アジア地域で物流事業の基盤強化を進めている。

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