タイ 2010年8月17日(火曜日)
クボタ、タイに輸出拠点:日米向けも視野、新会社設立[製造]
クボタ(大阪市浪速区)と素材最大手サイアム・セメント(SCG)グループは16日、今月2日に設立した新会社サイアムクボタ設立の正式発表を行った。タイ国内だけでなく近隣諸国への農機の輸出拠点とし、さらには水・環境システム事業も含めたアジア事業の中核会社とする。タイでは東南アジア仕様の農機を製造しているが、今後、アジア共通仕様の製品を日本・アジア向けに生産することも検討していく。さらにアジアだけでなく、将来的には米国向け輸出も視野に入れているという。【吉岡由夏】
16日の記者発表には、クボタの益本康男社長、SCGのカン社長、サイアムクボタの木股昌俊社長、同社のウィラチャイ上級副社長が出席した。
サイアムクボタは、販売会社のサイアム・クボタ・インダストリー(SKI)と、製造会社のサイアムクボタトラクター(SKT)の2社を統合したもので、SKIがあったバンコク北郊パトゥムタニ県ナワナコン工業団地に本社を置く。資本金は約66億円で、クボタが60%、SCGが40%を出資する。
クボタの益本社長は、サイアムクボタをアジアの中核拠点として近隣諸国にエンジン・農機を輸出し、「クボタブランド」の浸透を目指したいと語った。農業の機械化を進めることでアジアの食糧危機問題を解決し、将来的には浄水・下水処理設備などの販売も開始して、アジアの環境問題にも貢献したい考えだ。
タイには製造拠点が2カ所あり、ナワナコン工業団地で耕運機、横型ディーゼルエンジンを製造している。また東部チョンブリ県アマタナコン工業団地で昨年3月にトラクターの生産を開始。さらにコンバイン工場も建設中で、来年初めに量産を始める予定だ。
輸出は現在1割程度にとどまるが、木股社長によると将来的には3割に引き上げる計画。
27億バーツを投じて、年内にコンバインの年産能力を1,000台から1万台に高め、トラクターも近い将来2万5,000台から倍の5万台に引き上げる。ほかに田植え機、トラクター用インプルメント(道具・用具)の生産も加え、収入拡大を目指す。今年度は1,000億円の売上高を見込むが、2013年には1,850億円の達成を目標とする。
同社長によると、トラクターのエンジンは日本から輸入しており、現地調達率は6割程度。トラクター用エンジンの工場設立も検討課題に入っている。またトラクター向け鋳物部品の工場を東部チャチュンサオ県に建設中で、来年1月をめどに量産を開始する予定だ。
■日本向け輸出も
ウィラチャイ副社長によると、日本の農機は主に稲作用だが、タイにはサトウキビ、パームヤシ、キャッサバ、トウモロコシなどコメ以外の作物もあり、タイ仕様の機種を開発し、近隣諸国に輸出すれば収入拡大につながると述べた。
稲作農家の所得は一般に低く農機を購入できない農家も多いが、商品作物の農家は所得も高く、農機の所有割合も高いという。
タイ国内での市場シェアについて公式な統計はないものの、同副社長は「トラクターでクボタのシェアは最大ではないか」と語った。コンバインは販売を開始したばかりでまだ3割以下だが、3〜4年後には7割程度に引き上げたい考えだ。
クボタは6月、現行の日本国内モデルよりも低価格なアジア共通設計のコンバインを発表しており、木股社長によると、将来的にこうした製品をタイや中国で生産し、日本を含むアジア向けに輸出することも検討していくという。同社はアジアではタイのほか、中国、ベトナム、インドネシアに工場があり、トラクター、エンジンの生産はタイが最大規模。