ベトナム・インドシナ 2010年8月18日(水曜日)
幽霊FDIの一因、中央政府に:経済専門家が指摘[経済]
外国投資(FDI)案件の実現性を審査する力量のない地方に、中央が案件を押し付けることで、実行が滞る「幽霊案件」が増える一因となっている──。経済専門家のファム・チー・ラン氏が、中央による外国投資仲介の弊害を指摘した。ティエンフォン電子版が報じた。
■押しつけ断れず
ラン氏は典型例として、北中部ハティン省で2008年に認可された後、遅延を繰り返している台湾プラスチックグループ(台プラ)の大型製鉄所案件を挙げる。
台湾では鉄鋼大手でない台プラが、ベトナムへのFDIとしては認可額で過去最高の160億米ドルの鉄鋼案件を認可されたことに驚いたという。
ラン氏によれば、地方の指導部のほとんどが、「外国投資案件の多くは中央から紹介された」と話している。一部には投資企業に十分な実行力のない案件が、地方に押し付けられる場合もある。中央官僚が地方に案件を紹介するのはやめるべきだという。ラン氏は、「仲介に熱心な裏には何があるか考えるべきだ」と述べ、この種の案件には、問題が含まれていたり、個人的利益が絡んでいる可能性を示唆している。
07年には、米国に本拠を置くとされるエミネンス・グループが、北中部タインホア省ギソンでの300億米ドルに上る製鉄所建設計画を表明したが、幽霊性のきわめて高いこの投資話も、中央官僚がタインホア省に話を持ち込んだ可能性があるようだ。
実際、ラン氏が指摘するように、幽霊案件とFDI認可の増大は、権限が地方に移管されてから大きくなっている。
南部バリアブンタウ省ではサイゴン・アトランティス・ホテル(30億米ドル)案件をはじめとし、1件が数十億米ドルもするリゾートなどの幽霊案件が次々と認可された。30億米ドルは製油所や原発1基分の建設費用に相当する。マレーシアのライオングループなどの当初から実現見通しのない大型製鉄所案件も地方が認可しては取り消されるという事態になっている。一方で、住民の土地収用だけが先に進み、入居のない工業・リゾート用地が全国で造成され、混乱の火種となっている。
■着手資金の監視強化も
ラン氏は、「多くの企業は現在、提携先との契約に調印する前に、コンサルタントや銀行に、提携先の調査を依頼する。わが国も、在外機関に置いた商務部が、この種の調査を支援することができる。100万米ドルの案件に調印する前に、数百米ドルを支出すれば、投資企業の実行力を知ることができ、リスクを減らすことができる」として、「わが国への大型投資について、こうした調査が行われないのは残念だ」と話す。
中央が地方に案件を持ち込む場合にも、この種の調査を支援すべきであり、地方が「幽霊案件」を認可してしまった場合、そのまま放置せず、各省庁、分野が地方に積極的に協力して、案件を見直すべきだという。案件が挫折すれば、大きな損害が発生する。
ラン氏は、「案件の着手資金が規定通りに国内に持ち込まれているかどうかも、厳しく監視することが必要だ」と主張する。計画投資省の資料では、企業が投資を決めた際には、資金の28%の用意しかなく、これでは案件を実行するには全く不十分だという。
ラン氏は1945年ハノイ生まれ。ハノイ商業大学卒業。ベトナム商工会議所(VCCI)に長く勤め、同会議所の副会頭や首相直属の研究部会員などを務めた。