シンガポール 2010年9月8日(水曜日)
住宅価格、規制「思惑通り」 :過熱対策の導入から1週間 [建設]
政府が1週間前に導入した不動産バブルの抑制策が早くも市場に影響を及ぼし始めた。週末の民間住宅販売は、様子をうかがう動きから全体的に停滞。業界関係者の間では、マスマーケット(大衆市場)を中心に売れ行きが鈍化し、市況は当面「政府の思惑通り」横ばいかやや弱含むとの見方が強くなっている。
三井不動産(アジア)の高浜浩章マネジング・ ディレクターは、NNAの取材に対し「今回の不動産規制には、投機対象となっている民間のマスマーケット向け住宅、中古の公営住宅(HDB)の価格をこれ以上上げたくないという政府の強い意志を感じる」とした上で、「特に民間住宅では、1平方フィート(0.0929平方フィート)当たり700〜1,000Sドル(約4万4,000〜6万3,000円)の郊外にあるコンドミニアム(分譲マンション)、同1,000〜1,800Sドルで比較的小型な物件の販売が落ち込む」との見通しを示した。
■週末の販売ゼロも
ストレーツ・タイムズによると、新政策が適用されてから最初の週末となった4〜5日に新規物件の発売はなかった。不動産関係者によると、デベロッパーの間では価格を下げるよりは、まず新規販売を遅らせる動きが出てきたという。
発売済みの物件では、不動産大手ファー・イースト・オーガニゼーションが北東部セレター・ヒルズのコンドミニアム(分譲マンション)「ザ・グリニッジ」で8戸を販売。同物件の販売戸数は先月23〜29日の34戸から大幅に減速した。
同じく北東部のロロン・アー ソーのコンドミニアム「ザ・ミントン」は下見客数こそ以前と変わらなかったが、売れ行きは思わしくなかった。同物件を担当する英ナイト・フランクのピー ター・オー・マネジング・ディレクターは(住宅サービス部門)は、「顧客は様子見といったところだ」と話した。
このほか、フレーザーズ・センターポイントの広報担当者も、同社が販売する「ウオーターフロント・ゴールド」に対する引き合いは1件もなかったとしている。
高浜マネジング・ディレクターは「これまでのように発売後に即日完売という現象はみられなくなるだろう。全体的に市場のセンチメントが落ち、販売数、不動産価格ともに横ばいかやや弱含む可能性がある」と語った。
パシフィック不動産の木村登志郎社長も同様の見方を示した上で、「価格は急落せず『政府の想定した範囲内』で推移する」と話した。ただ長期的に不動産価格を抑制するには至らず、仮に市場が再び過熱すれば政府がさらなる規制強化に踏み切ることも考えられると指摘した。
都市再開発庁(URA)の統計によると、今年上期(1〜6月)の民間住宅販売件数は9,957件。業界関係者は規制が発表される前までは今年通年で最大1万5,000件を超えるとの見通しを示していたが、今後は伸びが鈍化するため予想を下回るとみている。
■国外不動産も規制対象
金融管理庁(MAS)、住宅開発庁(HDB)は8月30日に不動産の投機抑制策を相次いで発表し、同日から適用した。昨年9月、今年2月にも規制を強化していたが市場の過熱は止まらず、年初から6カ月間で民間住宅価格は38%上昇し、1996年のピーク時を超えていた。
今回の政策では、2軒目以降の住宅購入者に対し、住宅ローンの借入上限を購入価格の80%から70%に引き下げた。一方で残りの自己負担金30%のうち、現金での支払額を不動産価格の5%から10%に引き上げた。住宅を転売する際に課す販売印紙税(購入価格の最大3%)の支払い対象期間は住宅取得から1年以内だったが、3年以内に延長する。
政府の補助金を受けていない公営住宅の転売、賃貸などの開始可能時期は「居住後3年から5年」に、公営住宅所有者による民間住宅の購入は「制限なしから居住5年後」にそれぞれ伸ばした。
このほか、国内外の民間住宅の保有者が同公営住宅を購入した場合、6カ月以内に保有する民間住宅を売却することを義務付ける規定も設けた。国民だけでなく、永住権(PR)保持者が自国で保有する物件も規制対象となる。虚偽の申請者に対しては、最大5,000Sドルあるいは最大6カ月の禁固刑、またはその両方を科すとしている。