タイ 2010年9月8日(水曜日)
成長続く大メコン圏の拠点に:NTTコム、周辺国で市場開拓[IT]
NTTコミュニケーションズは、タイ法人を拠点として、潜在需要が見込まれる近隣国への事業拡大を進める方針を打ち出している。カンボジア、ラオスなど急ピッチで成長している大メコン圏(GMS)に進出する企業が日系、外国企業を問わず増えていることから、中国とインドで積み上げた実績を強みにアジア新興国に通じた通信事業者であることをアピールし、より幅広い顧客獲得を図る。【南堂知子】
NTTコミュニケーションズ(タイランド)は7月、カンボジアの首都プノンペンに支店を設立、営業を開始した。さらにタイをハブにしてラオス、ミャンマーへのサービス提供体制をNTTグループの日本・海外拠点と連携し、構築する。これまで、タイ国内の日系企業を中心に通信インフラの開設、運営、管理サービスなどを提供してきたが、今後はGMS拠点として日系だけでなく、世界各地に拠点を置く多国籍企業をターゲットにした市場開拓に取り組む方針。
■国内でも拠点増やす
タイ国内でも事業強化を図り、年内に中部アユタヤ県のロジャナ工業団地にサービスセンターを開設する計画を進めている。現在は東部ラヨン県のアマタナコン工業団地でサービスセンターを運営しており、5〜6人のスタッフが常駐している。
NTTコミュニケーションズ(タイランド)の川島剛社長は、製造業がアジア域内で拠点再編を進めている中でタイの優位性が増していると指摘。先ごろタイの財務省が、海外企業のタイへの地域統括本部(ROH)設置を誘致する目的でタイに進出する企業向けに新しい税制優遇措置を発表したことも、需要拡大の追い風になると見込む。世界各地に生産拠点を置く二輪、四輪製造の多国籍企業、スイス系セメント大手などが、タイでの拠点拡充に伴ってNTTの通信サービスを導入した実績もあり、1国での受注がグローバルに波及する効果を狙う。
■タイの潜在需要に期待
タイでは、9月末に携帯電話の第3世代(3G)サービス事業免許の入札が行われる予定で、近く本格的に3Gサービスが開始される。すでに他国で導入済みの携帯電話端末でのテレビ電話サービス、高速ワイヤレスインターネットなど多様なサービスが普及し、急速な通信サービス市場の拡大が予測される。川島社長は、「既存の固定回線の冗長化として、MVNO(仮想移動体通信事業者)との協業に大いに期待している」と市場参入に積極的に取り組む姿勢だ。
10月には、クラウド型仮想ホスティングサービスを開始する予定。これまでの通信インフラの敷設、国際電話事業などをメーンにした事業構成から、今後は顧客企業の業務内容に合わせ情報管理システムの企画、構築、運用などを一括して行なうSI(システム・インテグレーション)サービスの提供に重心を移していく方針。今年5月に局面を迎えたバンコク都内での反政府デモ活動激化で多くの企業が休業に追い込まれたことから、事業の継続性(BCP)、危機管理への関心が高まっており、緊急の場合に場所を選ばず業務処理が可能なICT(情報通信技術)環境への需要は大きいはずと期待を寄せる。
川島社長はフィリピンから本社法人営業を経て7月にタイに赴任したばかり。「タイには相当規模の潜在市場がある。まず2年で現在の年商を倍増させたい」と意気込みを語る。インターネットプロバイダー(IP)事業から自社運営のデータセンター・サービスまで――同社が手掛けるサービス領域の広さや高い信頼性を強みに、新たな体制のもと、受注拡大を進める方針だ。