オーストラリア 2010年9月9日(木曜日)
税制改革に本腰:労働党政権、次なる課題[政治]
政権続投が決まった与党・労働党は、税制改革に本腰を入れる意向だ。ただ、政権獲得のために協力交渉を行った無所属議員との間では、「ヘンリー財務次官による税制改革案を再度見直すための公開討論」を来年6月末までに実施することでも合意。鉱物資源利用税(MRRT)を含めた修正案の行方に注目が集まっている。8日付地元各紙が伝えた。
ヘンリー財務次官は今年5月、138項目にわたる税制改革案を発表していた。労働党政権はこのうち少数の提案を採用する方針を決定したが、資源超過利潤税(RSPT)が資源業界からの反発を生み、結果としてラッド前首相の支持率が急降下。首相交代に至っていた。
ヘンリー財務次官による税制改革には、非課税となる所得額を引き上げることや、消費税(GST)や土地税、キャピタルゲイン税の変更などが含まれていた。無所属が提案した公開討論までに、税制改革の具体的な決定事項が示される見通しとなっている。
シドニー大のダーキス教授は、「政府がこれまでに採用を拒否した改革案の中には、財政コスト増を避けるために採用すべき提案もあった」と指摘。税制専門家たちは、労働党政権による税制改革の再検討を歓迎しているという。
ただ、環境政党グリーンズ(緑の党)、無所属議員の意向も重要視されるため、総選挙前の単独政権時代と同様には改革案の内容を決定できない。環境対策に高い課税を要求するグリーンズ、地方インフラ拡充に期待する無所属の方針が、税制を大きく左右するとみられている。
■新資源税にも注目
また、ギラード首相とスワン財務相はこのほど、資源業界が廃案を期待するMRRTについて、「当初計画通り、現行案での施行(2012年7月)を目指す」との方針を示した。労働党政権と総選挙前にMRRT導入で合意に至ったBHPビリトンら資源大手も、現行案での施行を主張している。
ただ、総選挙前の協議に参加できなかった中小資源企業らの間では、「現行案は中小に不利な内容だ」として見直しを求め、あらためて連邦政府との協議開催を要請している。
豪州石油生産探査協会(APPEA)のロビンソン代表は、「MRRTが現行案での導入が決定した場合にも、税制をめぐっては依然として不透明感が残る」と指摘。同代表は、ヘンリー税務次官による税制改革案で資源業界に関連する項目が多数含まれた点に言及し、税制全体の行方を注視する必要があるとの考えを示した。
一部では反発があるものの、MRRTはギラード首相が断言するように現行案で施行される可能性が高い。労働党政権続投が決まったことで、資源業界としてはMRRT導入を視野に入れた事業計画を打ち出す時期に差しかかっているともいえそうだ。