シンガポール 2010年9月9日(木曜日)
ワタミ、旗艦店など2店追加 :好立地でブランド浸透図る[商業]
外食チェーン大手のワタミは、今月半ばからの2カ月で居食屋「和民」の2店舗をシンガポールで矢継ぎ早にオープンする。昨年出店した1、2号店より集客が見込める好立地に、国内最大規模の3号店と郊外型の4号店を設置することで「ワタミ」ブランドの浸透を図る。
100%出資の現地法人ワタミフードサービス・シンガポールの栗原聡社長は、NNAの取材に対し「3号店は9月15日、4号店は11月半ばに開店する。これからも当初の予定通り1年2店舗のペースで出店を続け、進出から5年間で10店舗とする目標を達成したい」と話した。
新店舗はいずれも、駅近の一等地に設ける。3号店はオフィススペースを兼ね備えた都心部の複合商業施設「ラッフルズ・シティー」の地下1階に開店する。店舗面積は5,000平方フィートで席数は209席。日本でも大型店の部類に入り、シンガポールの「和民」としては最大規模、初期投資額も国内最大の160万Sドル(約1億円)となった。
MRT(地下鉄・高架鉄道)で最も乗降者数が多いシティーホール駅に隣接しているほか、オフィスビルに勤務するビジネスマンが多いため、国内随一の繁華街オーチャード通りの商業施設「アイオン(ION)オーチャード」内にある1号店よりも集客が期待できる。栗原社長によると、大型店はピーク時のオペレーションが忙しくなるが、「1〜2号店で経験を積んだスタッフを投入する」ため問題はないという。
4号店は中部ビシャンの商業施設「ジャンクション8」内に設置する。店舗面積は2,700平方フィート、席数は130席で1号店と同規模。国内でも有数の集客力を誇る郊外型ショッピングモールであることが出店の決め手となった。MRT南北線と環状線(サークルライン)が交差するビシャン駅前に位置し、環状線が全面開通する来年にはさらなる集客が見込める。
栗原社長は「シンガポールでカジュアルレストランとしてのポジションを確立するためには認知度の向上が欠かせない。そのためにはこれからも一等地に出店することで、最終的には当地でも『ワタミ』をメガブランドに育てたい」と意気込みを語った。
■人材不足に対応
ワタミは昨年7月にシンガポールで東南アジア初出店を果たして以来、順調に売り上げを伸ばしている。1号店は目標としていた年間2億円を上回るペース、昨年9月にオープンした2号店は目標の8割だが利益は確保している。2010年12月期の予想売上高は4億3,000万円。最終損益は新店舗の出店に伴う初期費用の計上で赤字を見込むが、4店舗体制となる来期からは年間2店舗を出店しながら黒字化を達成する見通しだ。
当面の課題は、カジノ総合リゾート(IR)2カ所が今年2月、4月に相次いで開業した影響によるサービス産業での人手不足。教育面を充実させることでスタッフの確保に努めるほか、4号店では厨房を従来の店舗よりも小さくし、少ない人数でも調理できるような工夫を取り入れる。
■他国はFCで展開
ワタミは他国での店舗展開も積極的に進めている。毎年1カ国ずつ新たな市場で出店する目標を掲げており、先月初旬には海外事業を担当するワタミ・インターナショナルが、マレーシアの地場飲食チェーンのチャスウッド・リソーシズとフランチャイズチェーン(FC)契約を締結。早ければ同国で年内にも「和民」の1号店をオープンし、今後6年間で10店舗を展開する計画だ。
シンガポールでは直営店を設けたが、今後はマレーシアのようにFC契約での多店舗展開を急ぐ。直営店に比べると利益は低いが、急激な成長を遂げるアジア地域で早期にワタミブランドを浸透させるためには最適な手段と判断した。シンガポールで培った経験は、周辺各国への店舗展開に生かしていく。現在は韓国、タイ、インドネシアで事業化調査を進めており、12年までに海外100店舗を達成したい考えだ。
ワタミの海外店舗は現時点で、シンガポール(2店舗)、香港(18店舗)、台湾(8店舗)、上海(3店舗)、広州(1店舗)、深セン(2店舗)の計34店舗。海外事業の年商は今期が約60億、売上高比率は5%。5年後にはそれぞれ200億円、約7〜8%まで引き上げる予定。