ベトナム・インドシナ 2010年9月17日(金曜日)
日系企業100%のSEZ目指す:シハヌークビル港チュン総裁(前)[公益]
カンボジア日系投資の元年──。法・通関手続きの不透明さや電力代の高さ、識字率の低さ、中国式製造業の定着から日本の投資は外国投資全体の1%未満で、「日系企業は視察だけで投資をしない」とカンボジア政府から揶揄(やゆ)されてきた。だが、ここにきて流れが変わった。ベトナムや中国の人件費高騰や人手不足を背景に、有名な車両・電子部品メーカー、縫製業などの日系メーカーがカンボジア進出を真剣に検討し始めた。こうした中で、国際協力機構(JICA)の39億7,000万円の円借款で建設が進むシハヌークビル港経済特区(SEZ)の販売計画が遅れている。日系投資の潮流に同SEZは日系企業を呼び込めることができるのか。シハヌークビル港湾公社のルー・キム・チュン総裁に話を聞いた。【聞き手・遠藤堂太】
■「来月に販売開始する」と言われてから半年以上が過ぎています
昨年9月に着工し、来年9月完工予定でしたが、3カ月遅れています。しかし来年末には完成し、入居企業の建屋建設が可能です。販売価格は経済財政省との最終的な調整段階に入っており、来月初旬までには発表でき、契約なども行えるようにしたい。
着工自体が遅れたのはJICAの社会環境基準に沿って、不法占拠者の対応に時間がかかったためです。
■50ヘクタールの販売面積で円借款額を割ると1平方メートル当たり80米ドルを超える計算ですが
適正な市場価格が求められ、80米ドルという高額にはなりません。中国企業による「シハヌークビルSEZ」は18米ドルと安いですが、電力や水道など自前で整備しなければなりません。我々の港湾公社が運営する円借款のSEZは世界に直結する港の隣接地で、トラック輸送費が限り無くゼロなのです。
高いが品質が良いというトヨタ車の「レクサス」のようなファイブ・スター工業団地を目指します。販売価格が高いことで、中国・韓国企業をふるい分けることができるでしょう。入居後のトラブルが少ない日系企業の100%入居が目標です。そして、縫製業に偏ったカンボジアの産業構造を変化させ、シハヌークビル港の貨物取扱量を10%以上増やすのが狙いです。
すぐにでも入居したい日系企業は、我々の対応を遅いと思うでしょうが、数十年工場を稼働する際のメリットを考えてほしいと訴えたいです。中国企業のSEZに入居するリスクは大きいはずです。(後編に続く)