インドネシア  2010年9月27日(月曜日)
日揮 液状改質炭燃料を実証へ:世界初、5年内に商業化[資源]

日揮は、石油代替燃料として開発した低品位炭の粉末と水を混合したスラリーの実証プラントを設置する。世界で初の実証プラントとなり、25日に西ジャワ州カラワンで起工式を行った。20億円を投じて来年10月に完工する。発電所や工場での需要を見込み、5年で年100万〜150万トンの商業プラント2〜3カ所の建設を目指す。



複合企業シナール・マス・グループと共同で2014年まで年産1万トンの実証となる。日系企業の工場なども多いカラワンで運用することで、工場での試験利用などを促進する意向だ。

日揮は、過去に中国で瀝青(れきせい)炭をスラリー化したプラントを手がけたことがあるものの、亜瀝青炭や褐炭などの低品位炭をスラリーとして生産するのは初めて。インドネシアの石炭の8割を占める低品位炭を有効活用することは、日本インドネシア石炭政策対話でも課題の一つに掲げられており、両国政府の支援を受ける。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による今年度の助成対象となっている。

丹下誓副社長は、中核の設計・調達・建設(EPC)受注が安定事業ではないために、安定収入の投資リターン事業を進めていると説明。商業プラントも同社が建設、運営する計画と説明した。インドネシアでの低品位炭利用が進めば、瀝青炭や液化天然ガス(LNG)の輸出促進にもつながるとの見解を示した。

■貯蔵、運搬で強み

スラリーにすることで、低品位炭が持つ自然発火などの危険性を低下できるほか、運搬や貯蔵が容易になる。重油と同様の取り扱いが可能で、価格は石油製品の6〜7割程度に抑制できるという。

同社が開発した石炭スラリー「JCF」は、低品位炭を高圧熱水で改質した後にスラリー状に加工するもの。石炭を大きさの異なる数種類の粉末状の石炭と水を7対3の割合で混ぜ、粉末間の空隙が埋まる粒径分布と呼ばれる状態を作りだす。少なくとも6カ月は通常の状態での貯蔵が可能で、それ以降で粒子が沈殿した場合でも循環させることで利用できるという。

丹下副社長は、石炭液化のうちでは最も低コストな技術と説明。当面はインドネシアでの事業に注力し、商業化第1号プラントも国内で建設する意向を示した。当面は国内供給に注力し、将来的には近隣諸国などへの輸出も可能と述べている。

藤田哲男技術理事は、商業プラントの候補地として石炭産地の南スマトラ州を中心に検討すると語った。年産100万〜150万トンの商業プラントの工費はインフラなどによるものの200億〜300置円と予想した。

実証プラントをカラワンに建設するのは、工場など将来の供給先と見られる企業からアクセスが容易なことのほかに、シナール・マス傘下のピンド・デリ・パルプ・アンド・ペーパー・ミルズが運営する石炭火力発電所の石炭ヤードを利用できるためという。国営電力PLNがスラリー利用に関心を示しており、複数の企業からは実証ではなく商業プラントの建設を求める声もあると明らかにした上で、まず実証で信頼性などを示していきたいと説明している。

インドネシア以外では、豪州やフィリピン、タイ、ベトナムなどでも事業機会があるとみている。また、エンジンメーカーと強力しスラリーを使ったエンジンの開発を進めるほか、生物資源(バイオマス)スラリーを石炭スラリーに混ぜることも検討しているという。

一方、EPC事業では、三菱商事が参画する中部ジャワ州ドンギ・スノロのLNG施設の受注を目指すと明らかにしている。

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