シンガポール 2010年9月28日(火曜日)
昇降機の世界シェア10%へ:日立、域内・印・中東を開拓 [製造]
日立製作所は27日、東南アジアとインド、中東地域の昇降機事業の統括会社をシンガポールに設立したと発表した。拡大・多様化が見込まれる域内の需要を見据え、新制御システムを利用したエレベーターの機種の充実を図る。日本、中国との連携体制も強め、新設受注台数の世界シェアを10%まで引き上げる意向だ。
新会社の名称は日立エレベーター・アジア(HEA)。同社の広報担当者は、NNAの取材に対し「これまでシンガポールに設けていた同国市場向け昇降機の製造・販売・サービス会社、日立エレベーター・エンジニアリング(シンガポール)=HEESから社名を変更した。従来の営業、仕様決定、調達、メンテナンスといった業務に加え、新たに域内全体の事業戦略を立案する統括機能を持たせた」と説明した。来月1日から業務を開始する。HEAはシンガポールにあるアジア統括拠点、日立アジアの昇降機営業部門も統合する。
管轄国・地域に向けて、エレベーター運行速度の高速化、品ぞろえの拡充を進める。日立は日本、中国、シンガポールに持つ開発拠点間で連携しながら、基本設計を統一した新制御システムを開発。今年4月からは、同システムを採用した小型機械室のエレベーターを東南アジア、インド、中東のほか中国でも発売している。新会社は引き続き日中との連携の下、同システムをベースに開発を行っていく。
また、営業・仕様決定、設計、生産・調達の3業務で利用するIT(情報技術)プラットフォームを3拠点で統一する予定。手動で行っていたデータ変換などの作業を自動化するほか、拠点間の情報の集約・交換を促進し、業務の効率化を加速する。
■受注地にとらわれない制度へ
日立は日本では世界最高速・大容量のエレベーター開発を手掛ける一方、中国ではコスト競争力に優れた製品作りに注力している。統一プラットホームを確立させることで、「世界のどこで注文を受けても、受注場所にとらわれず迅速に調達、製造などの担当を適切な拠点に割り振れるシステムを確立する」(同担当者)考え。
新たな統括会社設置や3国間の連携強化を通じ、新設受注台数の世界シェアを2009年度の8%から12年度までに10%に拡大する目標を掲げている。同社によると、東南アジア、インド、中東における昇降機の新設需要は12年までに6万5,000台となり、09年の5万4,000台から2割増となる見通し。全世界でみると中国に次いで高い成長が見込まれるという。
新会社では管轄地域でのグローバルな人材育成も推進する。同担当者によれば、HEA社員の大半を占める現地人スタッフに対し要職に就けるレベルを目指して実地訓練(OJT)を実施する。日本や中国の各拠点との人材交流も深める計画だ。