オーストラリア 2010年9月29日(水曜日)
証投委が監査費調査へ:料金引下げで質低下懸念[経済]
豪証券投資委員会(ASIC)が、企業会計監査の質が低下している恐れがあるとして、国内の会計事務所大手14社を対象に監査費の実態調査に乗り出した。過去1年間で上場大手20社の約半数が監査費用を削減したことが分かったため。大手企業では景気後退期に監査費用の削減を進めており、最近では入札方式で監査を依頼するケースも増加傾向にあるという。
オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューが、上場大手20社の年次報告書を基に監査費を調べたところ、9社で監査費の削減が確認された。このうち会計大手3社が担当した監査については、費用が6〜16%減となっていた。
企業側のコスト削減圧力を受け、会計事務所がシェア維持のため、料金の引き下げを進めているとみられている。
ただ、ASICでは、料金の引き下げは「監査の質低下」につながる恐れがあるとみて、今回初めて、会計各社に対し文書で監査費用の実態調査を進めることを決定した。
ASICでは各会計事務所から得た監査費に関する資料と企業の財務情報を基に、不当な監査費の引き下げが行われていないかどうか見きわめるという。同委は、「監査費の決定は会計会社とクライアント企業に任せるべき」との見方を示しているものの、今回は「監査の質低下の恐れがある」として異例の措置に踏み切ったと説明している。
■背景にシェア維持
国内の会計大手4社によると、今年に入りクライアント側が、会計監査や顧問などの諸経費を削減する傾向が強まっていると分析している。ただ4社とも、「市場が縮小するなかでシェアの維持・拡大に向けた料金引き下げは行っていない」と主張している。
料金引き下げの事例は大手会計事務所だけに限定されるものではない。中小会計事務所でも、これまで会計大手を使っていたクライアントに対し、既存の会計費の約30%減という見積もりを出した事例があるなど、値下げ傾向は業界全体に広がっている。
国内では10月に企業の年次株主総会が相次ぎ開催される。企業は総会を前に、監査費削減に向けて入札方式による監査依頼を進めているようだ。昨年も年次総会前に、監査費をそれまでの半額まで引き下げる監査会社もあった。特に今年は、「セカンドオピニオン」を求めることで、企業が自社の会計費の妥当性を測るケースも増えてきたともいわれている。