シンガポール 2010年9月29日(水曜日)
日系各社が保安需要を喚起へ:国内初登場技術などを展示[製造]
日系電機・IT(情報技術)メーカー各社は、セキュリティー関連ソリューションの展開に力を入れている。28日から3日間の日程で開催されている内務省主催の保安関連技術の展示会「ガバメントウェア2010」にはNEC、日立製作所、富士ゼロックスの3社が出展。バイオメトリクス(生体認証)ソリューション、情報守秘技術のほか、国内初登場となる新技術を紹介している。各社ともシンガポールをはじめとする周辺地域で官民両分野での需要が今後も拡大すると予測している。
NECのアジア太平洋地域の統括会社NECアジア・パシフィック(NEC APAC)は今回の展示会で保安ソリューションを「公共および犯罪捜査システム」「多様式バイオメトリクス入場管理システム」「モバイル式選別・認識システム」「データ・ネットワーク保安ソリューション」の4つのコンセプトに分けて提示。最新の顔認証システム(FRS)や指紋・顔認証技術を応用した双方向型出入国審査ゲートのほか、落下衝撃や振動、水、ほこり、温度変化などに強い耐久式ノートパソコンと組み合わせた指紋照合システムを展示した。
また、日本国内で導入実績のある回線暗号化装置「COMCIPHER(コムサイパー)」シリーズをシンガポールで初めて紹介した。同装置は通信回線上のデータを保護するもの。NECの植田聡アクセスシステム営業推進部主任は同日、NNAの取材に対し「高い情報守秘性が評価され、日本国内では金融機関、公共機関、警察などで合計4万台以上が導入されている。海外へは欧米を含めて展開を始めたところ。アジアでは特に金融機関が集中しているシンガポールと香港での営業に注力していく」と説明した。同機種は「既存ネットワーク機器の設定変更を行うことなく導入できることや、保守が容易な点が競合他社と比較して優位にある」とも付け加えた。
NECは、アジア太平洋地域での保安ソリューション分野が09〜12年の間に47%の成長を遂げると見込んでいる。今年4月にはNEC APAC内にセキュリティー関連のソリューションを研究する施設「パブリック・セキュリティー・コンピタンス・センター」を開所。NEC APACの広報担当者は「シンガポールでソリューションとして採用した技術を、アジア太平洋地域のほかの国をはじめ、欧米、南米へも技術移転していく」と説明した。
■日立は指静脈認証など展示
日立製作所のアジア統括拠点、日立アジアは指の静脈パターンの画像によって個人認証を行う指静脈認証技術を応用したソリューション、統合システム運用管理ソフトウエア「JP1」を紹介。同社トータルセキュリティーソリューション部門の担当者は、展示した指静脈技術について「シンガポール国内では04年から導入を進めており、入室用や勤務管理などで採用が進んでいる。指の透過光撮影方式を採用することで、海外他社の手のひらや甲の静脈認証に比べて、小容量の情報でより安定した認証精度が実現できる」と説明した。
日本のマンションなどで採用が進んでいる「ハンズフリーセキュリティーシステム」も国内で初めて展示した。同システムでは、個人情報を記録した集積回路(IC)を内蔵したタグを保持する入館者が近づくだけで、センサーがタグを認証し施錠・解錠する。ビジネスソリューション・インテグレーション部門の担当者は「エレベーターや監視カメラシステムなどと組み合わせてコンドミニアムやオフィスでの導入を進めていく」と話した。
富士ゼロックスの現地法人、富士ゼロックス・シンガポールは、同社の複合型複合機とソフトウエアを活用したドキュメントセキュリティー・ソリューションを実演した。ビジネス・アライアンス部門の担当者は「複製の制限や複製履歴の総合管理を通じて情報漏えいの原因となる紙文書の管理を進める」と話した。