タイ  2010年9月29日(水曜日)
セントラルワールド営業再開:デモから半年ぶり、初日は混雑[商業]

4月初めに始まった反政府派デモ隊の占拠と暴徒による放火で一部が焼け落ち、閉鎖していたバンコク都心の大型商業施設「セントラル・ワールド(CW)」が28日、再オープンした。テナントの中には客足が戻るか心配する向きもあったが、昼食時には大勢の客が訪れ、レストラン街は大混雑した。一方で、デモの被害を受けた事業者への政府の補償は遅々として進んでおらず、問題は先送りされたままだ。【吉岡由夏】



90人近い死者を出したバンコク騒乱から4カ月余り。無残な焼け跡をさらしたCWが一部とはいえ営業を再開したことで、バンコク復興への期待が高まった。28日午前9時半から始まった再オープンの記念式典には、流通大手セントラル・グループの商業施設運営会社セントラル・パタナー(CPN)のコプチャイ社長、セントラル・グループのワンチャイ会長、ティラチョン・バンコク副知事らが、「WE LOVE CW」と書かれたピンクのTシャツを着て出席し、待ちに待った営業再開に喜びと期待を表明した。

再オープンしたエリアは、被害が大きかったゼン百貨店とその隣接区域を除くエリア。高架電車(BTS/スカイトレイン)駅に直接抜けられる入口もオープンし、一気に利便性が高まった。計360店の小売店・飲食店のうち、飲食店はほぼ全店がオープンしたが、ほかはまだ閉鎖している店もある。

CWは約1億2,000万バーツをかけて28日から販促キャンペーンを行う。1つは「CWキャッシュ・バウチャー・ダブル・バリュー」と呼ばれるもので、28日から来月3日まで、1枚1,000バーツの商品券を購入すると2,000バーツの買い物ができる特典。商品券は1人2枚まで購入可能だ。28日には多くの客が商品券の販売カウンターに並び列を作っていた。

また、「アイ・ラブCW」をテーマに10人のタイ人デザイナーがデザインしたTシャツを、CWほかセントラルプラザ各店で1枚200バーツで販売する。このTシャツを着てキャンペーン参加店に来店すると、最大10%の割引が受けられる特典がある。

昼時には周辺のオフィス街からランチを食べに来る人であふれた。友人数人と昼食を楽しんでいた20代のある男性会社員は「閉鎖される前は週に3度はCWに来ていた。再開されてうれしい」と語った。

なお、放火の被害を受けたゼン百貨店に隣接するエリアは今年12月初旬、改修工事中のゼン百貨店は来年8月に再オープンする予定だ。

■日系飲食店も続々

6、7階にある日系レストランも28日に再オープンした。和定食レストラン「大戸屋ごはん処」もその一つで、ベタグロ大戸屋(タイランド)の高田知典社長は「CWが閉鎖されていた半年間は長く感じた」と営業再開にほっと胸をなでおろした。デモの影響で商業施設「サイアム・パラゴン」店などほかの店舗も休業に追い込まれたが、5月末までにすべて再開しており、CW店が残された最後の店舗となっていた。



「CWが全館オープンしたわけではないので、デモ前の7〜8割程度の客足ではないか」と慎重な見方だったが、初日は平日にもかかわらず大勢の来店があった。

火災の被害はなかったものの消火水が流れ込んだため、天井や床、壁を張りなおし、約200万バーツの改装費がかかった。また休業中の売上損失は半年間で約1,800万バーツに上るという。他店舗と合わせ、デモによる売上損失は計4,000万バーツに上る見込みで、タイ政府には被害補償を申請したがいまだに回答はない。「全額は無理かもしれないが、せめて店舗改装費、従業員への見舞金、廃棄処分した食材の損失分は補償してほしい」(同社長)と考えている。

今年の売上高は当初予想通り、前年比約10%増の4億5,000万バーツを見込む。新規店舗の売り上げが予想以上に好調なこと、パラゴンや「エンポリアム」店など既存店も昨年より売り上げが伸びていることが理由だ。

今年は新規8店舗を予定しており、すべて下期に開店する。7月には「セントラル・ラマ3世通り」、8月には「パラダイスパーク」、9月には「ザ・モール・バンカピ」店を次々オープン。来月7日にはCW7階に「大戸屋キッチン」タイ2号店、11月はスクンビット23に高級日本料理店「おとや」タイ1号店、同月にサトーンにキッチン3号店、12月には「ザ・モール・タープラ」にごはん処、同月にキッチン4号店(場所未定)の開店を予定している。

大戸屋は今後も現在のペースでタイへの投資を続ける予定で、来年はごはん処5店、キッチン5店、計10店の新規店を計画しているという。

■伊勢丹にもプラス



6月に営業再開したがBTSからのアクセスが悪かったため客足が伸び悩んでいたバンコク伊勢丹も、CW再開による波及効果を期待している。同社のPRマネジャーである吉田裕之氏は「大きなプラスであることは確かだが、まだ全館営業していないことがネック。CWが今後キャンペーンでどれだけ盛り上げていくかにかかっている」と語った。

デモ前と比べて地元客が減った代わりに、周辺のホテルに宿泊している観光客の来店が増え、観光客の割合は全体の2割弱から現在では25%まで増加しているという。CWの営業再開を機に「地元客にも戻ってきてほしい」(同氏)というのが切実な願いだ。

CWの販促キャンペーンに伊勢丹も参加する。2,000バーツの買い物ができる1,000バーツの商品券は伊勢丹でも使えるほか、「アイ・ラブCW」Tシャツを着て来店した場合、オリジナルブランドの文房具をプレゼントするという。

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