インドネシア  2012年1月30日(月曜日)
東レら4者、小型浄水装置の事業化調査開始[公益]

東レ、子会社の水処理機器メーカーである水道機工、北九州市、財団法人北九州国際技術協力協会の4者は、インドネシアで太陽光発電パネルを搭載した小型脱塩浄水装置を用いて飲料水を供給する事業の調査を開始した。来年3月までに実証実験を行い、15年までの事業化を目指す。これを契機に、東レグループ、北九州市はともに同国を含む海外での事業機会の創出につなげたい考えだ。【久保英樹】

同調査は国際協力機構(JICA)が実施している発展途上国の貧困層の生活改善を支援するための「BOPビジネス連携促進・協力準備調査」の一環。4者は共同で、インドネシアの島しょ部に脱塩機能を持つ太陽光発電を動力源とする浄水装置を設置し、地域住民に飲料水を安価に提供する事業を提案。昨年10月に2011年度の応募案件73件から採択された13件のひとつとなった。

提案書に基づき4者は、東ジャワ州スラバヤ市に、浄水装置の生産・保守体制のほか、水処理を含む環境事業拠点構築の可能性を探る。試験装置を備え付ける西スサトゥンガラ州スンバワ島では村落や水販売業者と造成した飲料水の販売、配送、維持、管理などの体制を整備するための調査を実施する。JICAからは最大5,000万円の調査費用を受ける。

今月22〜27日にかけては、最初の現地調査を行うために水道機工、北九州市環境局、北九州国際技術協力協会、東レの現地法人を統括する東レ・インダストリーズ・インドネシアの担当者ら6人がスラバヤ市、スンバワ島などを訪問して州、県、市の関係者に協力を要請したほか、漁村1カ所で飲料水供給の現状を視察した。

水道機工の山本大輔・環境・海外事業本部営業部営業グループ課長は28日にジャカルタで、NNAらに対し「スンバワベサール県の井戸のうち75%に当たる350本の水は塩分が濃く、飲用に適していないと聞いていた。現地視察の結果、次回訪問時のヒアリング項目が固まった」と話した。

■試作機、1日500リットル浄水

現地調査は6月まで継続する予定。来月末か3月上旬には調査項目を絞っての聞き取り調査の実施を考えており、5月には日本で製造した試作機2台を導入し、9月までに現地で調達した部品で組み立てた装置を投入する計画。年内をめどに試験運用を完了し、現地の法律や規制などを踏まえた事業化調査の報告書を来年3月までにJICAに提出する。

試作機の太陽光発電パネルの大きさは縦3メートル、横2メートルになるという。下部に電力制御装置、東レの逆浸透(RO)膜を内蔵した小型脱塩浄水装置、バッテリーを配置する。太陽光発電で蓄電した電力を用いて井戸水をくみ上げ、浄水装置でろ過する仕組みのため、電力や水道インフラが整っていない地域でも飲料水を提供できるのが特長だ。1日の浄水能力は500リットル。製造原価は150〜200万円という。

東レは昨年、水道機工の緊急用小型造水機を基に、1平方メートルの太陽光発電パネルを備えた淡水用小型浄水装置を現地のグループ会社を通じ、スンバワ島の病院に1台導入して実証実験していた。インドネシアを含む水インフラが整っていない周辺国での生産・販売を目指している中、今回は環境事業に力を入れ、スラバヤ市とも協力関係にある北九州市と組んで事業化調査を実施することにした。



東レ・インダストリーズ・インドネシアの大河原秀康社長は「水事業で利益を上げていくために試行錯誤しているが、今回の調査案件への参加は東レの膜ビジネスを拡大するチャンスとみている」と語った。将来的には同国で膜モジュールの組み立てを行いたいという意向や、安全な水が不足している周辺地域にも展開していきたい考えも示した。

北九州市はスラバヤ市で2002年度から3年間、生ごみコンポスト(堆肥)技術を活用した廃棄物管理推進事業を実施した実績がある。昨年3月には戦略的環境パートナーシップに関する共同声明に調印した。インフラ整備での協力を通じた北九州市の経済活性化の可能性を探っており、今回は東レグループの協力で調査費を確保。今後は市内関連企業の海外展開を促したい意向だ。

JICAのBOP(ボトム・オブ・ピラミッド=ビラミッドの底)調査は2010年度に始まり、今回で2回目。世界で40億人いるとされる年間所得が3,000米ドル(約23万円)以下の貧困層を対象に、民間企業も参画することで一定の利益や雇用を生み出せる事業モデルを目指している。

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