増える軽トラの移動飲食店:低い起業コスト、屋台文化が土台[車両]

2016/06/30 タイ

タイで移動型の飲食店「フードトラック」が増えている。商業施設が林立しながらも屋台文化が色濃く残る首都バンコクで、近代と伝統の中間に位置するニッチ分野だ。フットワークが軽く比較的低コストで販売することができるため、ここ数年で起業や拡販の手段として存在感が増している。よく活用されるのは日本でもおなじみの軽トラック。新鋭オーナーに愛車の選択理由を聞いた。



「2カ月前にフードトラックをはじめた」。ジェンナロンさん(30)はスズキの軽トラ「キャリイ」を選んだ。特装車となるフードトラックは改装費用が必要となるが、プロモーションが魅力的で金融機関の紹介を受けるなどサービスが充実していたことが決め手となった。

「ソーリー・アイム・ハングリー」ブランドで販売するのは単価159〜219バーツ(約460〜640円)のハンバーガーだ。ジェンナロンさんはバンコクに実店舗を持ち、人気は上々。フードトラックの使用で顧客基盤の拡大を目指す。

同じくキャリイを土台とする「ファットバスタード」の共同経営者であるアサヤさん(27)は「北部チェンマイからバンコクまで運転してきた」と語る。口コミで耐久性の評判が良かったことで同モデルを選び、東京―岡山間と同等の距離を走っても「何も問題はなかった」と太鼓判を押す。



ファットバスタードの営業を開始してから10カ月。チェンマイはタイ第2の都市だが、バンコク首都圏とは人口規模で大きく離される。チェンマイのフードトラック仲間はまだ5〜6者だった。売りとするグリルサンドイッチ(139〜149バーツ)を、バンコクの外国人や通勤者に販売していく考えだ。

■需要発掘にスズキが行脚

スズキのタイ法人スズキ・モーター・タイランドの販売担当者は「トレンドとしてフードトラック人気が高まっている」と指摘する。軽トラ市場では中国系、インド系の競合メーカーを大きく引き離してトップ。今年はタイでキャリイを3,000台販売する目標を掲げているが、達成に向けて「食」の需要は無視できない。

同社が今年に打ち出しているのは、タイ全国5カ所でのイベント「スズキ・キャリイ・フードトラック・フェス」。既にバンコクと中部アユタヤ県で実施済みで、8月までに東部ラヨン県、北部ナコンサワン県、東北部ナコンラチャシマ県でも開催する。

タイは1トンピックアップトラックのイメージが強いが、キャリイの魅力は「小回りが利き、安価で十分な荷室スペースがあり、荷室ゲートが3方向開閉で機能的」(同担当者)なこと。近年のフードトラック人気を追い風に、キャリイを拡販していく方針だ。

■東風は低価格帯が基盤



フードトラック市場では、スズキと中国の東風汽車が2大メーカーだ。オーナーに話を聞くと、日本で培った信頼を売りとするスズキ、より低価格帯の需要取り込みを狙う東風、という構図が見えてくる。

ウパックさん(49)は、かつて実店舗でチキンヌードルを販売していたが、従業員の確保に課題を抱えていた。1年半前に東風モデルを使ったフードトラック「ロー・ムン・ノム・ソット」で飲料やトースト(35〜75バーツ)を販売する事業に転換。「夫婦で料理し、販売する。利益は下がったが、身軽になった」と語った。

同氏によると、東風モデルは購入価格が30万バーツからで、排気量は1100ccと1300ccの2タイプ。「重量のある機材を搭載する必要があるため、タイヤは交換する必要があった」。



「タイは屋台文化が根付いている」と語ったのは、同じく東風モデルを採用したタンラディーさん。「タム・カ・ティアウ」ブランドで実店舗2店を持ち、フードトラック販売は1年以上前に開始。現在は2台を駆使し、ヌードルを79〜189バーツで売り込んでいる。

■ネットで商機広がり

フードトラックのオーナーが口をそろえるのは、インターネットの重要性だ。自由に移動できるが、定位置で営業しないことで顧客確保が難しい。

ナタネンさん(37)は、オンライン上のトラックオーナーのコミュニティーに参加する一人だ。商業施設前などでイベントが開催される時が稼ぎ時で、素早く情報をキャッチしなければ商機を失う。「イベントも場所代がさまざまで、無料の時もある」という。

彼女がホテルのシェフを辞めて西洋料理の「ナタネン・アロイ・オン・ストリート」を始めたのは2年前。大型の設備を導入する必要があったため、トヨタ自動車のピックアップ「ハイラックス」を愛用している。

消費者とのつながりを保つためには、米交流サイト「フェイスブック」と写真共有アプリ「インスタグラム」で紹介ページを開設している。別の移動型店舗のオーナーも、「フェイスブックできめ細かく連絡を取り、顧客の場所へ飛んでいける」と語った。

フードトラック市場はまだ広がり始めたばかり。ただ、自動車各メーカーが多彩な改造需要に応えるための支援サービスを拡充しており、外食産業の形態の一つとして成長が期待されている。(シンチャイ・プラサーンスックラープ/Silpchai Prasarnsuklarp)


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